グリーン水素焙煎コーヒー事業で調印式(ラオス、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月26日 11時0分
ラオスの首都ビエンチャンで9月21日、日系企業など9社がラオス南部チャムパサック県で行う水素コーヒー焙煎(ばいせん)事業「グリーン・ハイドロジェン・バレー・プロジェクト(Green Hydrogen Valley Project)」に関する意向表明書の調印式を行った。マライトーン・コンマシット商工相や、第56回ASEAN経済大臣関連会合出席のためラオスを訪問していた吉田宣弘経済産業大臣政務官、片岡進ジェトロ副理事長らが立ち会った。新たにラオスに設立する事業会社ラオ・グリーン・ハイドロジェンと環境関連事業を手掛ける日系企業TSBグリーンネックス、ラオス企業でコーヒー栽培・加工・輸出を行うペッサワンコーヒー合同開発、ドイツのコーヒー焙煎機メーカーPROBAT、アルカリ水電解装置を開発するトクヤマ、整流器(注1)を製造するTMEICなどが調印した。
同事業は、チャムパサック県パクセー市中心部から18キロ南に位置するパクセー・ジャパン経済特区内で、電気からグリーン水素を生産し、その水素を使用してコーヒーの焙煎を行う事業で、2026年7月までに稼働する見通しだ。ラオス南部では基本的に、国内で発電した水力や太陽光などの再生可能エネルギー由来の電力が供給されており、そのグリーン電力を用いて電気分解で水素を生産する計画。原料のコーヒー豆はパクセー市の東50キロに広がる標高1,200メートルのボラベン高原を中心に生産されており、ペッサワンコーヒー合同開発が精製したコーヒー豆を使用する計画だ。
ラオ・グリーン・ハイドロジェンは将来的に、パクセー・ジャパン経済特区に入居する工場などにグリーン水素を供給し、カーボンニュートラルを実現する工業生産体制を整えるとしており、グリーン電力を活用したグリーン蒸気の供給も計画している。
なお、同事業はジェトロの「パクセー・ジャパン経済特区カーボンニュートラル化実証事業」として、8月にグローバルサウス未来志向型共創等事業(注2)に採択されている。
調印式の様子(ジェトロ撮影)
(注1)交流電流を直流に変換する装置のこと。
(注2)グローバルサウス諸国(ここではASEAN加盟国)が抱える課題解決を通じて、当該地域の市場の成長力を生かし、グローバルサウス諸国との経済連携強化や、事業実施国への裨益(ひえき)を目的として、民間事業者などが地域で実施する以下に示す対象分野のプロジェクトのうち、本事業が求める要件に合致したものを採択し、採択したプロジェクト実施に要する経費の一部を補助するもの。対象分野は、日本のイノベーション創出につながる共創型、日本の高度技術海外展開型、サプライチェーン強靱(きょうじん)化型。
(山田健一郎)
(ラオス、日本)
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