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米東海岸の港湾労使交渉、自動化問題の対立で交渉が決裂(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月19日 0時35分

米国東海岸港湾の労使交渉を巡り、労働者側の国際港湾労働者協会(ILA)は11月13日、雇用者側の米国海運連合(USMX)との新たな労働協約の締結に向けて協議を再開したものの、自動化を中心とした問題で対立しており、交渉を中断したと発表した。両者の間で4日間の集中協議が予定されていたが、交渉はわずか2日で決裂した。

ILAは交渉が決裂した理由として、USMXが交渉の冒頭に、港湾での全・半自動化技術の導入を交渉議題としないと明言したにもかかわらず、半自動化技術の導入意向を提案したためと説明した。さらに、「われわれの姿勢は13年にわたり明確だ。安全性と効率性を向上させるテクノロジーを受け入れるが、それは人間が主導権を握っている場合に限る」とし、全・半のいずれの自動化も雇用の置き換えを意味し、われわれが歴史的に守ってきた労働機能を損なうものだと述べた。

他方、USMX側は声明で、「残念ながら、ILAは、20年近く港湾の一部で使用されてきた(自動化)技術の使用を先々制限することで、わが国の業界を後退させる協定を主張しており、国内の将来的なサプライチェーン需要に応える進化を不可能にしている」と反論した。また、雇用を損なう技術を追い求めていないとし、「われわれに必要なのは、労働者の安全を改善し、雇用を守り発展させる方法で効率を高め、サプライチェーンを強く保ち、米国のビジネスと労働者の双方に経済的利益をもたらす生産能力向上に不可欠な、現代化の継続だ」と主張した。

10月1日に東海岸とメキシコ湾岸で始まった大規模なストは、新たな6年間の労働協約で62%の賃上げを行うUSMXの提示により、3日間で終結した。現行の基本契約は2025年1月15日まで延長され、ターミナルでのコンテナ荷揚げの自動化や、自動化技術の導入から雇用を守る保障、コンテナ使用料など、未解決の問題について交渉の場に戻ることで合意していた(2024年10月7日記事参照)。

このストの期間中、バイデン政権と当時大統領候補だったドナルド・トランプ氏はともに労働組合を支持し、それぞれ外資系海洋運送業者がパンデミック下で労働者を搾取していると非難した(業界専門誌「Gキャプテン」11月13日)。基本協約の失効期限までに交渉に進展がなければ、再度ストが発生する可能性もあり、その場合、政権がどういった対応を講じるか注目される。

なお、11月5日の大統領選挙で勝利した共和党のトランプ氏が公約に掲げる関税引き上げの懸念に加え、東海岸の湾岸労使交渉による再度のスト可能性を念頭に、輸入業者は入荷を前倒ししており、11~12月は貨物量が急増する見通しだ(2024年11月14日記事参照)。

(樫葉さくら)

(米国)

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