2023年の国連機関の調達総額、前年比15.7％減の249億ドル、アフリカからは51億ドル（アフリカ、中東、世界）

国連は7月19日、2023年の国連組織内の調達に関する報告書「国連調達年次統計報告書（ASR）」を発表した。同報告書によると、2023年の国連関連32機関での調達総額は249億ドルで、前年比15.7％減少だったが、過去3番目に多かった。アジアから79億ドル、欧州から78億ドル、アフリカからは世界の約20％の51億ドルだった。

全世界向けの分野別では、医薬品・ワクチン・医療機器などの保健分野が48億ドル、建設・エンジニアリング・科学分野が35億ドル、食料・農業分野が27億ドルだった。

国連の組織別の調達額は次のとおり。

国連児童基金（UNICEF）：52億ドル（前年比29.0％減）
世界食糧計画（WFP）：45億ドル（同25.6％減）
国連事務局：29億ドル（同5.2％減）
国連開発計画（UNDP）：25億ドル（同10.0％減）
国連プロジェクトサービス機関（UNOPS）：16億ドル（同8.5％減）
世界保健機関（WHO）：15億ドル（同7.0％減）
国連難民高等弁務官事務所（UNHCR）：13億ドル（同7.8％減）
国際移住機関（IOM）：12億ドル（同0.1％増）
汎米保健機構（PAHO）：10億ドル（同27.2％減）
国連食糧農業機関（FAO）：8億ドル（同4.5％減）

2023年は国別にみると、中東のアラブ首長国連邦（UAE）やトルコからの物品・サービスの調達額も多かった。調達元国を調達額順にみると、次のとおりになる。

米国：22億2,490万ドル（前年比5.7％減）
デンマーク：10億4,110万ドル（同20.0％減）
UAE：9億2,720万ドル（同9.3％減）
スイス：9億790万ドル（同25.8％減）
ベルギー：8億7,130万ドル（同50.2％減）
インド：8億7,030万ドル（同22.0％減）
英国：6億9,230万ドル（同47.0％減）
ウクライナ：6億8,440万ドル（同44.5％増）
フランス：6億6,900万ドル（同20.3％減）
トルコ：6億6,530万ドル（同24.4％減）

日本の外務省でも、日本企業の国連調達参入を促進するため、「国連調達オンラインセミナーの結果」ページや「国連と調達／ビジネス」ページで情報発信している。最新調達情報は「国連グローバルマーケットプレース（UNGM）」から確認可能。

なお、UNOPSウェブページによると、2023年の日本政府拠出の調達参加事例は、中東アフリカでイエメン、レバノン、シリア、パレスチナ、ヨルダン、ナイジェリア向けに物品やサービスを提供している。

（井澤壌士）

（アフリカ、中東、世界）