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6月の米雇用統計、失業率上昇や賃金上昇率低下など雇用情勢の減速傾向示す(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月8日 13時20分

添付資料PDFファイル(194 KB)

米国労働省は7月5日、6月の雇用統計を発表した。失業率の上昇や賃金上昇率の低下など雇用情勢が減速していることを示唆する内容となった。

就業者数(前月差11万6,000人増)、失業者数(同16万2,000人増)、労働参加率(62.6%、前月から0.1ポイント増)を踏まえた失業率は前月から0.1ポイント上昇し、市場予想(4.0%)よりも高い4.1%となった(添付資料表1、図1参照)。自然失業率とされる4%を上回る水準となるのは2021年11月以来。25~54歳のいわゆるプライムエイジの失業率(3.5%)の上昇(前月3.3%)が最も大きく寄与した。

非農業部門の雇用者数は前月から20万6,000人増と、市場予想(19万1,000人増)を上回ったものの、4月の数値は16万5,000人増から10万8,000人増に、5月の数値は27万2,000人増から21万8,000人増に大きく下方修正された。3カ月移動平均でみた場合は17万7,000人増と、2021年1月以来の低い水準となった。

新規雇用者数増の内訳をみると、民間部門は13万6,000人増、政府部門は7万人増。民間部門では財部門が1万9,000人増で、伸びの大半は建設業(2万7,000人増)、特に非住宅部門の増加で占めている。製造業は前月から8,000人減少。金属加工(6,500人減)、一般機械(6,500人減)などが主な押し下げ要因となった。

サービス部門は11万7,000人増だった。主な業種では、ヘルスケアを中心とした教育・医療(8万2,000人増)が伸びの大半を占め、そのほかは耐久財関連を中心とした卸売業(1万4,000人増)や財団などのその他サービス(1万6,000人増)だった。他方、小売業(9,000人減)や飲食店(3,100人減)などはマイナスとなっており、消費の減速の影響が表れている(添付資料表2、図2参照)。

平均時給は35.0ドル(前月34.9ドル)で、前月比0.3%増(前月0.4%増)、前年同月比3.9%増(前月4.1%増)と伸びが低下し、いずれも市場予想と一致した。伸びが高かった業種は、金融業(前年同月比5.1%)、建設業(同4.9%)、製造業(同4.8%)など、伸びが低かった業種は教育・医療サービス(同3.1%)、情報通信業(同2.3%)など。金融業や商業・運輸・公益などでの賃金上昇率の鈍化が平均時給の伸び率の押し下げに寄与した。

5月の雇用統計は強弱バラつきを見せていたが、6月は失業率、雇用者数、賃金など主要な指標が総じて雇用情勢の減速を示す結果となった。米国労働省や民間機関が別途発表している指標でも、失業保険給付者数の増加や求人数の減少などが報告されている(2024年7月5日記事参照)。消費の冷え込みに伴って、インフレ圧力の低下とともに、労働市場が減速していく動きは、金融引き締めが効果を及ぼし始めたことを意味する。米国連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレ率が目標の2%に向けて進んでいることについて時間をかけて検証していく考えだが、今回の結果は利下げに向けた今後の連邦公開市場委員会(FOMC)の議論にも影響を与えそうだ。なお、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の調査によると、今回の結果を受けて、9月利下げを予想する者が7割を超えるなど、市場では早期利下げ期待が高まったもようだ。

(加藤翔一)

(米国)

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