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ハリス米副大統領、ノースカロライナ州での選挙キャンペーンで新たな経済政策発表(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月19日 10時50分

米国のカマラ・ハリス副大統領は8月16日、ノースカロライナ州での選挙キャンペーンの一環として行われた演説で、新たな経済政策を発表した。中間層の復活などバイデン政権の進めてきた経済政策の考え方を引き継ぎながら、生活コストの削減に重点的に取り組むことで、インフレに伴う負担の軽減を図る内容となっている。言及した主な内容は次のとおり。

(1)食品や食料品の価格つり上げ禁止

パンや牛肉などの価格が新型コロナウイルスのパンデミック時よりも大幅に高止まりしていることを認めつつも、企業が値上げによって大きな収益を上げているとし、「食品(Food)や食料品(Groceries)の価格つり上げに対する史上初の連邦レベルでの禁止」を実施することを提案。消費者から不当に搾取して、食品や食料品で過剰な利益を上げることができないようにするべく、罰則を含む規則の制定も目指すという。これにより食品価格の低下を実現する考え。

(2)医薬品コストの削減

インスリンのコストを月35ドルに制限することや、メディケア受給者の医薬品に対する自己負担上限額を年間2,000ドルとすること、薬価引き下げ交渉(2024年8月16日記事参照)をさらに進めていくことなど、現行のインフレ削減法に基づく取り組みを促進していく考え。

(3)住宅コスト抑制対策

2025年度予算教書などで示した内容(2024年3月8日記事参照)を拡充するとともに、バイデン政権下で発表していた50を超える物件を有する大手不動産事業者に対する家賃の引き上げ制限(2024年7月17日記事参照)などを通じて賃料の引き下げを図る考え。具体的には、(1)今後4年間で300万戸の新築住宅の建設を進め、住宅価格を低下させる(予算教書では200万戸)、(2)初めて住宅を購入する者100万人に対する2万5,000ドルの頭金補助を実施(予算教書では同額で40万人が対象)、(3)住宅建設促進のため400億ドル規模の基金の創設(予算教書では200億ドル)などを示した。

(4)新生児に対する年間6,000ドルの税額控除を含む児童税額控除の拡充など

育児関連費用が最も高く、親が頻繁に休まなければならない生後1年未満の子供がいる家庭に対し、年間6,000ドルの税額控除を実施する考えを示した。これとともに、2025年度予算教書に盛り込んだ児童扶養税額控除(注1)の復活なども実施する考え。

今回示した経済政策は8月19日から開催される民主党全国大会で採択する政策綱領にも反映される見込みだ。今回のハリス氏の演説では、米保守系シンクタンクの政策案「プロジェクト2025」を引き合いに、同シンクタンクとトランプ陣営が近い関係にあるとの認識の下(注2)、同陣営の経済政策が大企業や富裕層をいたずらに優遇するものとして批判。これと対比させるかたちで自身の経済政策をアピールする場面が目立った。政策綱領の決定や、今後予定されている討論会などを機に、ますます論戦は激しさを増していきそうだ。

(注1)児童税額控除は、児童1人当たり2,000ドルを上限に所得税を控除する仕組みとなっているが、米国救済計画法の下では、新型コロナ禍の特例として5歳以下の児童1人当たり3,600ドル、6~17歳までの子供1人当たり3,000ドルに拡大していた。

(注2)トランプ陣営は「プロジェクト2025」との関係を否定している。

(加藤翔一)

(米国)

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