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タイ米USTR代表、中国の対メキシコ投資に懸念表明(米国、中国、メキシコ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月28日 13時25分

米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は10月23日、ブラジルで行われたブルームバーグ・ニューエコノミー・フォーラムが開催したイベントに登壇した。タイ代表は中国の対メキシコ投資に対する懸念を述べるとともに、サプライチェーンの強靭(きょうじん)化の必要性を強調した。

タイ代表は、ブルームバーグのステファニー・フレンダー氏との対談で、中国が中国内の市場だけでなく、グローバル市場を支配しようとしている点を懸念していると述べた。そうした兆候は既に鉄鋼、太陽光パネルでみられ、現在は電気自動車(EV)とバッテリーでもみられているとし、太陽光パネルでは各生産工程それぞれで、中国にほとんどのサプライチェーンが集中していると述べ、途絶リスクを指摘した。

フレンダー氏から、中国企業がメキシコに投資して米国がメキシコから調達している場合、米国にとってサプライチェーンが中国から多様化しているといえないのではないかとの問いに対して、タイ代表はサプライチェーンの強靭(きょうじん)化の観点から考える必要があると答えた。USTRは3月にサプライチェーンを強靭化する貿易・投資政策を策定するための調査を開始しており(2024年3月8日記事2024年6月7日記事参照)、その調査から得た結論として、透明性、多様性、安全性または信頼性、持続可能性の4つの要素に照らして、中国による第三国への投資を評価すると述べた。地政学的な緊張が高い中では、安全性・信頼性の重要性は高まるばかりだとも付け加えた。調査結果の報告書は2024年内に発表を見込んでいるという。タイ代表はまた、中国企業によるメキシコでの工場建設を目的とした買収に潜在的な懸念があるとも述べた。

対談の後半、ステファニー氏から、バイデン米政権はトランプ前政権が主導した中国製自動車の流入阻止に対して、中国からだとろうとメキシコからだろうと、米国には流入させないという政治的動機に対する「知的構造」を構築しているのではないかと指摘された際は、「客観的な知的枠組みであり、中国を抑制するものではなく、米国内の包摂的な経済成長を目指すものだ」と強い口調で反論した。

今回のイベントでも俎上(そじょう)に上がった中国製EVの流入懸念は、米国では党派に寄らず共有されている。民主党の大統領候補のカマラ・ハリス副大統領も、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領も、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の2026年見直しなどを利用して、自動車の原産地規則の厳格化の必要性を訴えている(注)。中国製EVを巡る両党の政策比較は、2024年9月6日付地域・分析レポート参照。

(注)ただし、産業界やカナダ、メキシコは反対している(2024年10月15日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、中国、メキシコ)

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