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サブサハラ・アフリカで紛争や抗議デモ発生も、2024年は3%成長の見通し(アフリカ、スーダン、コートジボワール、ケニア、南アフリカ共和国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月17日 13時30分

世界銀行は10月14日、サブサハラ・アフリカ地域の経済見通しに係る報告書「アフリカの鼓動(2024年10月版)」を発表した。同地域のGDP成長率は2023年に2.4%だったが、2024年には3%となり、2025年と2026年には4%台に加速する見通しだ。

同報告書では、2024年の成⻑率は、2024年4⽉時点の予測と比べて0.4%ポイント下方修正された。これはスーダンでの武⼒衝突により、同国の2024年の成長率がマイナス15.1%となる見込みであることが一因だという。同国では、食料や物資の確保が困難であり、避難民が増加(注)しているほか、物理的インフラに損害もあり、国家運営にも支障がある状況だ。

一方で、コートジボワールでは、デジタル分野や運輸分野へのインフラ投資に加えて、新たな油田の発⾒もあり、2024年に6.5%、2026年も6.6%と堅調な成長が見込まれる。

東アフリカも好調で、2024年の成⻑率は4.7%、2025年から2026年には5.7%の成長が⾒込まれる。特にケニア、ルワンダ、タンザニア、ウガンダは、東アフリカ共同体の成⻑パフォーマンスに最も大きく貢献した。

南アフリカ共和国は、2023年の0.7%の低成長から回復し、2024年には1.1%、2025年から2026年には1.6%になるとの予想だ。

地政学リスク、債務増、貧困などの課題も

同報告書は、ロシアによるウクライナ侵攻や、中東情勢悪化から生じる地政学的リスクは、国際的な食糧・エネルギー価格の高騰につながる可能性があると指摘する。一方で、アフリカでは、財政の悪化もあり、食糧に関する補助金や関税免除など手段は限られている。

既に生活費の⾼騰や政府への不信などにより、ケニア、ナイジェリア、ウガンダなどで政府への抗議活動が発生しており、他の国へも広がる可能性もある。さらに、ブルキナファソ、マリ、ニジェールが⻄アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)を離脱してサヘル諸国同盟を結成しており、アフリカ全体の経済統合の取り組みが減速する可能性もあるという。

サブサハラ・アフリカの公的債務は急増しており、2024年の政府債務の合計は、GDPの約58%と高水準との予測だ。2国間債権のシェアは、2008年の金融危機以前には、フランス、中国、米国、日本、サウジアラビア、クウェートの順だった。金融危機後は中国が最多で、2006年時点にはシェアが3%だったが、2022年には12%まで増加した。

また、同地域の1人当たりGDPは、2022年から2024年にかけて0.5%増だが、貧困層は2022年時点の4億4,800万⼈から2024年には4億6,400万人に増加する見通しだ。

地政学リスクや財政悪化は、民間部門の投資やビジネス取引を難しくする可能性がある。

(注)2023年の紛争・暴力による該当国内での避難人数は、世界全体で2,050万人となり、スーダンでは約30%の約600万人を占める。サブサハラ・アフリカでは、世界の46%となる3,480万人だった(2024年5月16日記事参照)。

(井澤壌士)

(アフリカ、スーダン、コートジボワール、ケニア、南アフリカ共和国)

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