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バイデン米政権、ウイグル強制労働防止法事業者リストに中国の水産品企業など3社を追加(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月12日 13時20分

米国国土安全保障省(DHS)は6月11日、米国のウイグル強制労働防止法(UFLPA)に基づく輸入禁止対象の事業者リスト「UFLPAエンティティーリスト(EL)」に中国企業3社を追加指定したと発表した。

同リストに追加された企業は、山東省の水産加工品メーカーの山東美佳集団(Shandong Meijia Group、注1)、広東省の靴メーカーの東莞緑洲鞋業(Dongguan Oasis Shoes、注2)、新疆ウイグル自治区のアルミニウム・黒鉛メーカーの新疆神火煤電(Xinjiang Shenhuo Coal and Electricity)の3社。DHSは、新疆ウイグル自治区政府が主導する同自治区内外の工場にウイグル人などを移送して強制労働を利用するプログラムに、各社が協力していたと判断したことを追加指定の理由に挙げている。

UFLPAは、2022年6月に施行された米国法だ。(1)物品の採掘・生産・製造が中国の新疆ウイグル自治区で行われた場合、または(2)UFLPAのELで指定された企業・団体が物品の生産などに関与した場合に、強制労働の利用があるとみなし、1930年関税法307条(注3)に基づき、当該物品の米国への輸入を禁止する。これまで、同リストには65企業・団体が指定されていた(2024年5月20日記事参照)。今回の追加指定で、同リストに掲載される事業者数は合計で68企業・団体となった(注4)。

今回追加された企業が生産に関与した製品は、6月12日以降に米国への輸入が禁止される。なお、UFLPAはいわゆるデミニミスルールや付加価値基準の例外規定が存在しない。すなわち、いかに少量であっても、米国に輸入しようとする物品に新疆ウイグル自治区から調達した原材料や、UFLPAのELで指定される企業・団体が加工した原材料などが含まれる場合には、それに実質的な変更を加える加工を行ったとしても、UFLPAの適用対象となる。実際に、米国税関・国境警備局(CBP)が公表するUFLPAに基づく輸入の差し止めなどの執行データ(2024年5月1日時点)によると、国別の執行件数では、中国(2,689件、3億6,019万ドル)が最多だが、金額ベースでは、マレーシア(1,980件、15億934万ドル)、ベトナム(2,656件、9億2,243万ドル)、タイ(838件、4億7,466万ドル)などのASEAN諸国が中国を上回っており、中国原産品だけでなく変更を加えられた第三国経由の物品に対しても執行が及んでいる実態がうかがえる。

(注1)英文別名称:Rizhao Meijia Group。

(注2)英文別名称:Dongguan Oasis Shoe Industry、Dongguan Luzhou Shoes、Dongguan Lvzhou Shoes。

(注3)合衆国法典19編1307条(1930年関税法307条)は、強制労働や児童労働、囚人労働、刑罰による契約労働などを利用して採掘・生産・製造されたあらゆる物品の輸入を禁止する。UFLPAと並行して、1930年関税法307条に基づいて輸入を差し止める措置も継続されている。最新事例は2024年4月15日記事参照

(注4)併せて指定されている子会社や関連組織を除く。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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