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米USTR、カナダのデジタルサービス税に対してUSMCAに基づく協議要請(米国、カナダ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月2日 14時30分

米国通商代表部(USTR)は8月30日、カナダが6月に導入したデジタルサービス税(DST)について、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づく紛争解決協議を要請したと発表した。

USTRは以前から、年次で発表する外国貿易障壁報告書などで、カナダが導入を予定していたDSTに懸念を表明していた(2024年4月5日記事参照)。具体的には、ユーザーのデータやコンテンツ提供などに依拠する特定のデジタルサービスなどへの課税が米国企業を狙い撃ちしており、カナダがUSMCA第15章「越境サービス」に基づいて米国企業を差別的に扱わないとした合意に違反するというのが米国側の主張となる。直近でも、キャサリン・タイUSTR代表が8月28日に、カナダのメアリー・エング輸出促進・国際貿易・経済開発相と会談した際、この件を議論したとしている(2024年9月2日記事参照)。

タイ代表は、カナダの一方的なDSTは米国企業を差別するものとして反対するとした上で、「協議を要請すると同時に、DSTがもたらす課題を包括的に解決するために、OECD/G20における国際的な税交渉で米国財務省を支援する」との声明を出した。DSTの国際的なルールについては、2021年10月のG20財務相・中央銀行総裁会議で大筋合意されていた(2021年10月14日記事参照)。しかし、DSTの対象となる企業が米国巨大IT企業に集中することから、米国がルールの最終化での調整で他国と合意できておらず、導入時期が不透明となっている。カナダも同交渉に参加しているが、導入の見通しが立たないため、独自のルール導入に踏み切った。

今回の協議要請によって、USMCAの紛争解決手続きが正式に開始したことになる。両国は75日間で協議を行うが、話し合いで解決できない場合、米国はいわゆる裁判所に当たるパネルの設置をUSMCAの事務局に要請できる。おおむね良好な両国関係で今回の件は目立った懸案であるため、今後の動向が注目される。

(磯部真一)

(米国、カナダ)

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