駐在員雇用企業にインターン受け入れ求める「1:3ポリシー」を導入(マレーシア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月21日 11時50分
マレーシア人的資源省は1月15日、外国人駐在員を雇用する企業に対し、駐在員1人につき最大3人の学生インターン採用を有給で義務付ける政策、いわゆる「1:3ポリシー」を発表した。10万人規模のマレーシア人若年層の雇用促進や、将来的な労働力育成を目的に、2025年2月15日から12月31日まで試験導入し、2026年1月の実施を目指す。
同省傘下の人材開発公社タレントコープが発表した資料およびFAQによれば、制度の対象となるのは、駐在員サービスセンター(MyXpats)またはマレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC)を通じて雇用パス(EP)の承認を受けた企業。具体的には、EPのカテゴリー1(ジェトロ「マレーシア>外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用>外国人就業規制」参照)1件につき3人、カテゴリー2は2人、カテゴリー3は1人の学生インターン採用を求める。上記FAQの11問目では、EPの件数に応じた具体的なシミュレーションも提示している。なお、マレーシアでの操業が2年未満の企業、駐在員事務所・地域事務所、政府から税制優遇を受けるデジタルおよびエネルギー分野の企業は本ポリシーの適用対象外。
採用の対象となるのは、マレーシアの高等教育機関や技術・職業教育訓練(TVET)の学生で、期間は最低10週間。月給は500~600リンギ(約1万7,500~2万1,000円、1リンギ=約35円)から。
ただし、2025年2月から試験導入を開始するのは、MyXpatsのEPカテゴリー1とカテゴリー2のみで、主に外資系企業や政府系企業、コングロマリットなどが該当するとしている。EP承認時にタレントコープから送付されるメールから、専用サイトへの登録を行い、インターン募集を開始する仕組み。現状、政府は企業に対し実施を働きかけるのみで、応じなかったとしても罰則はない。一方で、参加した企業は、研修コストなどの関連費用に対する税控除を受けられる。
産業界は強い難色示し、撤回を要請
今回の発表にマレーシア製造業者連盟(FMM)は難色示し、政策を見直すよう促している(1月16日付FMM声明)。その理由としてソー・ティエンライ会長は、声明で「技術革新を通じ急速に変化する製造業においては、欠員補充に必要とされているのは熟練労働者」と説明し、インターン採用では人材不足を解消することはできないと指摘した。若年層の雇用拡大については代わりに、製造業での長期就労に関心を持つ学生に的を絞り、業界のニーズに対応した実地研修を導入すべきだと提言した。
FMMはまた、外国人労働者の雇用凍結を早期に撤廃するのが先決だともあらためて強調。「外国人労働者は、生産性レベルを維持し、顧客の注文に対応し、マレーシアの国際競争力を確保する上で極めて重要だ」と政府に対し理解を求めた。
(吾郷伊都子)
(マレーシア)
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