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イランとの包括的戦略的パートナーシップ条約は米国への牽制、ロシア側識者の見方(ロシア、イラン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月27日 1時35分

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は1月17日、イランのマースード・ペゼシュキヤーン大統領と首脳会談を行った。首脳会談を受け、両国は包括的戦略的パートナーシップ条約(以下、パートナーシップ条約)を締結した(2025年1月20日記事参照)。

共同記者会見でプーチン大統領は、ロシアとイランは近年、外交、安全保障、経済など多方面で関係緊密化が進んでいると評価した。特に経済面では、2024年1~10月の2国間貿易(往復)が前年同期比15.5%増となったことや、2024年の同貿易において両国の通貨が取引に使われた比率が95%を超えたことを強調した。インフラ関連では、引き続き南北輸送路(注)の敷設やブーシェフル原子力発電所2号炉、3号炉の建設(2024年10月25日記事参照)に関する協議を行った。

パートナーシップ条約は、発効の手順や有効期間などの実務的なものを含め47項目にわたる。項目数で目立つのは経済分野だ。エネルギー資源、金融、物流・輸送、基準・認証、カスピ海の利用など多岐にわたる。ただし、南北輸送路など一部を除き、具体的なプロジェクトやアクションプランは記載されていない。

国際関係では、国連など国際機関での案件対応における調整や協力、第三国により一方の国に制裁が加えられた場合に他方はそれに参加しないこと、制裁によって一方が受ける影響の緩和への協力が盛り込まれた。国防・安全保障関係では、軍関係者の相互訪問、共同軍事演習の実施、軍事技術面での協力推進を確認した。

パートナーシップ条約を米国のドナルド・トランプ大統領の就任式直前に締結した背景には、米国への牽制があるとみられる。軍事ブロガーのアレクサンドル・コッツ氏は、仮に国連安全保障理事会でイラン核開発に対する新たな制裁が提起されたとしても、同条約はロシアが拒否権を行使する根拠となると指摘する(同氏のテレグラム1月17日)。保守派の論客であるアレクサンドル・ドゥーギン氏は、核兵器を有する新たな軍事ブロックの誕生は、西側諸国からの干渉が弱まり国家主権の強化に資するという見方を示した(ラジオ・スプートニク1月20日)。

(注)ロシアからカスピ海周辺諸国を通り、イラン、インドを結ぶ国際輸送路整備構想。

(欧州課)

(ロシア、イラン)

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