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バイデン米政権、建築物のエネルギー効率基準導入促進に9,000万ドル拠出(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月17日 15時35分

米国エネルギー省(DOE)は9月16日、住宅や商業用建物の最新エネルギー基準の実施を支援するため、9,000万ドルの助成金を提供すると発表した。この助成金はインフラ投資雇用法(IIJA)に基づいて拠出するもので、同基準の実施に向けて州政府などが地域の業界団体などと連携して取り組む、建築基準に関する技術者など向けの研修・トレーニングを支援する。2023年7月にも27プロジェクトを対象に9,000万ドルの助成が行っており、2回目の割り当てとなる今回は全米25のプロジェクトが対象となる。

住宅・商業部門の温室効果ガス(GHG)排出量は、暖房や調理などによる直接排出が全体の13%にすぎないものの、他の部門と比較して電力使用割合が高く、電力の利用を加味して算定すると全体の31%と、全部門中最大の割合を占める。このため、住宅・商業部門の脱炭素化を進めるために策定された「2050年までの建築物の脱炭素化に関する米国の青写真」(Decarbonizing the U.S. Economy by 2050:A National Blueprint for the Buildings Sector)では、エネルギー効率の改善が特に重視されている。また、エネルギー効率の改善に向けては、(1)既存建築物に関しては、インフレ削減法(IRA)の下で一定の基準を満たす住宅改修やヒートポンプの設置などに対する税額控除を実施、(2)新規住宅などに対しては、エネルギー効率基準を定め、その普及・促進を図るべく、IRAの下でのプログラムハブなどの基盤づくり(2024年8月28日記事参照)や、今回の発表のような研修・トレーニングといった地域や業界の取り組みへの支援などが行われている。DOEは、エネルギー効率基準に基づいて建てられた住宅は、15年前に建てられた住宅と比べて、エネルギー効率が約40%向上すると試算しており、今回の基準の採用により2010年から2040年までの間に、二酸化炭素(CO2)排出量が9億トン(注)削減できると見込んでいる。

今回対象として選定したプロジェクトの主な事例は次のとおり。

地域エネルギー効率化組織の取り組み(助成額360万ドル):南西部部族住宅所有連合、メーン州知事エネルギー事務所、コネティカット州エネルギー環境保護局が協力し、農村部や先住民族のコミュニティーが建物のエネルギー効率を高めるためのフォーラムやプログラムを提供。
スリップストリーム(助成額280万ドル):ミシガン州の先住民族政府と緊密に協力し、建物基準の適用・施工を支援。先住民族メンバーに対して研修を行い、必要なリソースを提供。
全米州エネルギー当局(NASEO、助成額220万ドル):建物の耐久性に影響するエネルギー基準を評価する新しい方法を開発。この方法は、アリゾナ州とフロリダ州で試験的に実施され、得られたデータは建築業界向けの教育、研修プログラムに通知される。
New Buildings Institute、South-Central Partnership for Energy Efficiency as a Resource、オースティン・エナジー(助成額160万ドル):テキサス州、オクラホマ州での効率的で耐久性ある建物基準に関する研修などを行い、その導入を支援。
ロードアイランド州エネルギー資源局(助成額160万ドル):同局とロードアイランド建築業協会が協力し、建物検査官、設計専門家、建築業者、建設取引先に対して建物基準の研修、教育リソースを提供し、最新の建物基準の実施を支援。

(注)ガソリン自動車1億8,700万台の年間排出量にほぼ匹敵する量。

(藤田ゆり、加藤翔一)

(米国)

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