カナダのトルドー首相、辞任の意向を発表(カナダ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月7日 16時20分
カナダのジャスティン・トルドー首相は1月6日、首相の職および同氏が率いる自由党党首を辞任する意向を表明した。今後開始される自由党の党首選挙で選出される新党首が首相に就任するまでの政治的空白を避けるため、トルドー氏が暫定的に首相として続投する。カナダでは、2025年10月までに総選挙が行われる予定だが、トルドー政権はそれを前にして幕を閉じることとなった。
トルドー首相率いる内閣は、クリスティア・フリーランド前副首相兼財務相の辞任(2024年12月19日記事参照)を受け、内閣改造を行っていたが(2024年12月24日記事参照)、党内での政治的な統一が取れず、また、世論調査における低支持率もあり(2024年12月10日記事参照)、辞任を決断したかたちだ。
トルドー氏は「しっかりとした全国的な競争プロセスを通じて党が次期党首を選出した後、私は党首を、首相を辞任するつもりだ。昨夜、私は自由党にそのプロセスを開始するよう要請した」として、辞任の意向および次期党首の党首選の開始を発表した。
また同6日、トルドー氏は、議会がまひし続けていることを理由に、新たな議会会期が必要であるとして、カナダの次期会期の開始を1月27日から3月24日に後倒しするようカナダ総督に進言し、それが認められた。これにより、下院が首相の不信任案の提出が可能になるのも、3月24日以降となる。
トルドー氏は、最大野党の保守党のピエール・ポワリエーブル党首に対し、同氏の保守的なビジョンはカナダ人にとって正しいものではないとした上で、「気候変動との闘いを止めることは理にかなわない。カナダが常に、自らをまとめるために努力してきた価値観、強さ、多様性を後退させることは、この国にとって正しい道ではない」と批判した。
辞任の発表を受け、野党の新民主党(NDP)のジャグミート・シン党首は「次の自由党党首が誰であるかは問題ではない」として、「信任投票が行われ次第、政府に反対票を投じる」として、自由党に対する反発の姿勢を見せている。
なお、1月20日に次期米国大統領に就任するドナルド・トランプ氏は自身が運営するSNSのトゥルース・ソーシャルで、トルドー氏の辞任に言及しつつ、「カナダが米国の51番目の州になれば、関税はなくなり、税金は大幅に下がり、ロシアや中国の船の脅威から完全に守られる」と発言した。
(谷本皓哉)
(カナダ)
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