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「国家カーボンピークアウトパイロットエリア(大連)実施プラン」を公表(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月31日 1時25分

中国遼寧省大連市政府は2024年7月18日、「国家カーボンピークアウト(注1)パイロットエリア(大連)実施プラン」を発表した。国家発展改革委員会は2023年12月に「カーボンピークアウトパイロットエリアの第1弾リスト」を公表し、大連市を含む25都市と10カ所の産業園区をカーボンピークアウトパイロットエリアとして指定していた(2023年12月19日記事参照)。同プランの重点措置7項目と目標は次のとおり。

(1)陸上・洋上風力発電、屋上などでの太陽光発電の推進、火力発電所の新増設の厳格な制限および既存施設の省エネ改造推進、安全を確保した上での原子力発電所の建設推進、揚水発電や化学系蓄電の推進により、クリーンエネルギーの普及を促進する。2030年までに大連市における非化石燃料由来のエネルギー発電量を全体の70%超とする。

(2)再生可能エネルギー由来の電力を用いた水電解による水素(グリーン水素)製造をメインとしつつ、工業副生水素(注2)によって補完する、低コストな水素の供給体制を構築する。また、水素製造設備・燃料電池のスタック(注3)とコア部品の製造、燃料電池バス・トラック・路面電車の社会実装、水素輸送用のパイプライン、水素充填(じゅうてん)ステーションなどのインフラの拡充により、2030年までに、大連市における水素産業のハイエンド設備や水素燃料電池製造産業の市場規模(生産額)を800億元超(1兆7,600億円、1元=約22円)まで拡大することを目指す。

(3)石油化学産業のバリューチェーン全体の低炭素化を促進、船舶業や鉄鋼業などの重工業を中心とする製造業全般のグリーン化、省エネ、排出削減、カーボンシンク〔二酸化炭素(CO2)の吸収〕などの新規産業の発展に取り組み、2030年までにCCUS(CO2の回収・利用・貯蔵)技術の競争力を高める。

(4)大連英歌石科学城(科学技術・イノベーションの社会実装を推進する研究所)発のグリーン技術を活用し、イノベーションを促進することにより、カーボンニュートラル、カーボンピークアウトに関する先進的な技術を開発し、効果的な実施策を打ち出す。

(5)長海県(注4)において、グリーンエネルギーの利活用、海洋生態系のカーボンシンクの促進などにより、遼寧省初となるCO2排出がほぼゼロの低炭素化モデル地区を目指す。

(6)バス停留所などにおけるソーラーパネルの設置、駐車場への充電施設の設置、グリーンビルディング(環境性能が高い建築物)の普及を促進する。

(7)市民の脱炭素化意識を向上させる。

なお、カーボンピークアウトパイロットエリア第1弾リストに選出された地域のうち、2024年7月15日時点で、蘇州工業園区および浙江省杭州市(2024年5月)、河北省張家口市(同年6月)、山東省青島市および広東省広州市(同年7月)など13の都市や産業園区が実施プランを発表している。

(注1)中国は2030年までにカーボンピークアウトを、2060年までに実質的なカーボンニュートラルを実現することを目標として表明している。

(注2)他の製品を製造する際に副産物として生じる水素。

(注3)最小の発電単位の「セル」を複数枚積み重ねたもの。

(注4)大連市に属する行政単位で、黄海に位置する島しょ部。

(李莉)

(中国)

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