1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

フフイ州の鉱業の状況、炭化水素・鉱業庁長官に聞く(アルゼンチン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月7日 0時40分

アルゼンチンの北東部に位置するフフイ州のホセ・ゴメス炭化水素・鉱業庁長官に5月24日、同州の鉱業の状況について話を聞いた。概要は以下のとおり。

フフイ州では、オラロス・カウチャリ塩湖で炭酸リチウムの生産が開始されている。2つのプロジェクトがあり、アルカディウム・リチウムのサレス・デ・フフイ社は既に生産中、ガンフェン・リチウム(贛鋒鋰業)のエクサール社は試験プラントを稼働中だ。州にはこのほかに、ハマ塩湖とサリナス・グランデス塩湖の2つの有望な塩湖がある。

州政府としては、リチウム鉱床探査への投資を歓迎したい。探査から次の開発段階に移行する際には多額の資金が必要なため、現在探査を行っている企業は出資してくれるパートナーを必要としているが、まずは探鉱を行うことが重要と考えている。

フフイ州でリチウム開発の機会はまだたくさんある。先述の未開発の有望な塩湖があるからだ。ハマ、サリナス・グランデスの2つの塩湖については、先住民コミュニティーが長らく、探査に反対していた。しかし、ハマではコミュニティーの理解を得て探査が許可され、6月中に試験プラントが稼働する予定だ。サリナス・グランデスは、2019年にある企業がコミュニティーとの合意を守らずに坑井(こうせい)を掘削した結果、開発が停止した。5年の歳月を経て、この6月に最初の試掘が始まる。

州にはリチウムだけではなく、金、銀、銅も埋蔵している点は注目に値するだろう。5月22日にフフイ州、メンドサ州、サン・フアン州、カタマルカ州、サルタ州の5州の知事は「銅円卓会議」の創設で合意した。フフイ州には、現在は少量だが、既に銅の生産があり、より大きな開発を念頭に、銅鉱床の探査に関心を寄せる企業が現れ始めている。

水質汚染への懸念など、鉱業に反対する先住民コミュニティーは存在する。しかし同時に、対話に前向きなコミュニティーもある。州政府は鉱業の状況をコミュニティーに具体的かつ明確に説明することに取り組んでいる。州政府の考えは、彼らを従属させることではなく、ともに前進することにある。

フフイ州には、州独自の投資優遇制度を定めた投資法があり、税制上の優遇措置や投資額の最大30%を還付する措置がある。国内で最も優れた投資法の1つと自負している。国会では現在、ミレイ政権が新たに打ち出した投資優遇措置の「大型投資奨励制度(RIGI)」を含む法案が審議されているが、RIGIは大幅な所得税の減免など、大企業を優遇しすぎているとの批判を受けている。所得税率を引き下げることでこれらの企業からの直接的な税収は減るかもしれないが、RIGIで投資が増えれば、それにより雇用や消費が増え、間接的に税収が増えるとも考えられる。銅円卓会議に集まった5州の知事はRIGIへの賛意を示している。とはいえ、フフイ州には優れた投資法があるため、投資家はRIGIの成立を待つ必要はないだろう。

(西澤裕介、サンティアゴ・ブリニョーレ)

(アルゼンチン)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください