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中国の高齢者の生活実態調査、約9割が在宅ケアを選択(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月29日 0時35分

中国高齢協会は10月17日、「第5回中国の都市・農村部の高齢者の生活実態調査に関する基本データ公報」を発表した。同調査は民政部と全国高齢工作委員会弁公室、国家衛生健康委員会、中国高齢協会などにより、2021年に国内の60歳以上の高齢者を対象に、訪問調査でアンケートを共同で実施したもの(注1)。

公報では、高齢者人口の基本状況、健康状態、介護サービス、経済状況など9つの面について、調査の結果が盛り込まれている。

調査によると、高齢者の2021年の都市部と農村部の比率はそれぞれ54%、46%となっており、女性の割合が51.7%で、男性の割合を上回った。また、60~69歳の高齢者が全体の56.2%、70~79歳が30.4%、80歳以上が13.4%を占めた(注2)。

1人暮らし(全体の14.2%)と夫婦のみで生活している高齢者(45.5%)は合計して全体の6割近くを占め、2010年より10.4ポイント拡大した。一方、子供との同居を志向する高齢者は全体の6割を占めた。

生活自立度について、自立できている高齢者は全体の88.4%、一部自立が困難な高齢者は7.1%、自立ができていない高齢者は4.5%だった。また、要介護と報告した高齢者は全体の13.2%を占めた。

必要とする介護サービスについて、ニーズが高い順に、訪問診療(全体の29.1%)、配食(22.1%)、文化・娯楽(22.1%)、健康教育(17.2%)、家事代行(15.8%)などが挙がった。また、在宅ケアを選択する高齢者は87.3%と大半を占め、介護施設を選択する高齢者は7.7%にとどまった。介護施設への入居意向を有している高齢者の価格の受容性について、月に1,000元(約2万2,000円、1元=約22円)未満の費用を負担できると答えた人は全体の46.1%を占め、3,000元以上を負担できるとした人は15.8%だった(注3)。

福祉用具の利用について、回答者の5割は老眼鏡を利用していると回答したほか、入れ歯、血圧計、つえを利用している高齢者の割合はそれぞれ35.2%、30.3%、9.7%だった。一方で、車椅子、補聴器、紙おむつ・パッドはそれぞれ全体の2.9%、2.0%、1.4%にとどまり、相対的に利用者が少ない結果だった。

(注1)「中国の都市・農村部の高齢者の生活実態調査」は、全国高齢工作委員会が約5年に1度実施している高齢者の生活実態に関する大規模な全国調査で、2000年、2006年、2010年、2015年に実施された。なお、調査対象地域に香港、マカオ、台湾は含まない。

(注2)国家統計局の発表によると、2021年末までの中国の60歳以上の人口は2億6,736万人で、全人口に占める割合は18.9%だった。2023年末までの60歳以上の人口は2億9,697万人となり、全人口の21.1%を占めている。

(注3)同公報によると、2021年の高齢者1人当たりの平均年収は3万2,027元で、年収の中央値は1万1,400元だった。

(張敏)

(中国)

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