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フィッチ、バングラデシュの格付けを「Bプラス」に引き下げ(バングラデシュ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月29日 13時5分

米国格付け大手のフィッチ・レーティングスは5月27日、バングラデシュの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(Long Term Foreign Currency Issuer Default Rating:LT IDR)について、「BBマイナス」から「Bプラス」に1段階引き下げ、見通しは「安定的(Stable)」に引き上げたと発表した。Bプラスは、投資適格に該当するBBBマイナスの4段階下で、投機的格付け(注)に位置付けられる。

同社は格下げの理由として、バングラデシュは対外的なリスクに対するバッファー(緩衝)の継続的な低下により、直近で制度変更はみられるものの(2024年5月10日記事参照)、十分な外貨準備高の確保は依然として課題で、外的ショックに対する脆弱(ぜいじゃく)性が高まっていることや、2022年以降の政府による各種の政策は、外貨準備高の水準を維持し、ドルの不足を解消するには不十分だった点を指摘した。具体的には、中央銀行が先般導入した「クローリング・ペッグ(crawling peg)」と呼ばれる、外国為替市場に柔軟性を持たせるための為替相場制度が、長期化している同市場のゆがみ(公定レートと実勢レートの差異)是正に効果をもたらすかは不確実で、外貨準備高の大幅増に寄与するかは不透明と分析している。

また、同国が政策目標の1つとしている、市場原理に基づく変動相場制への移行については、国内市場における供給不足、輸入抑制措置、自国通貨タカの対ドル安によってインフレーションの高止まりが継続することで、容易ではないとした。

一方、同国は適切な債権者構成によって対外債務のリスクが緩和されていることに加え、IMF融資のプログラム(2024年5月24日記事参照)によって、いまだ脆弱な銀行セクターの構造改革や公的債務の適正化、マクロ経済の安定が期待でき、中期的には良好な経済成長が見通せることから、格付け見通しは「安定的」に位置付けた。今後、同国の外国為替市場の柔軟性が高まれば、ドル不足が緩和され輸入が増加すると予想した。ただ、公定レートを通じた郷里送金の一層の促進も期待できるため、経常収支への影響は軽微になると見通した。一方、(中銀が先般講じた)商業銀行などの貸出金利の上限撤廃は、緊縮財政に良い効果をもたらし得るとした。

またフィッチは、中期的な経済成長見通しは安定しており、(主幹産業として)確立された衣料品輸出や人口ボーナス、安定した郷里送金に支えられる一方で、短期的には新規投資の足かせとなるドル不足や、民間消費を減少させる高インフレにより、2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)のGDP成長率は前年度比5.3%に低下すると予測する。

(注)相対的に信用リスクの低い「投資適格格付け」と比べ、債務不履行の可能性が高いとされる。フィッチの同格付けでは、トルコやバーレーンなどがBプラスに位置付けられている。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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