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酒田港、海外輸送につながる内航行路が新設(山形)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月24日 9時0分

山形県酒田市の酒田港で5月10日、新潟市の新潟港、福岡県の門司港(北九州市)と博多港(福岡市)の計4港を結ぶ内航定期コンテナ航路が開設され、入港記念式典が行われた。これまで酒田港の定期コンテナ航路は中国・韓国航路のみで、輸出貨物の多くは韓国の釜山港で積み替えられていたが、内航航路と外航航路を組み合わせ、門司港や博多港からの海外輸送が可能になった。

鈴与海運(静岡市、注1)が2023年12月に開設した新潟と門司、博多を結ぶ内航フィーダー航路に、酒田港が今回加わったかたちだ。最大積載能力199TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)の「みわ」が金曜日に酒田を出港、土曜日に新潟、翌週の火曜日に門司、水曜日に博多というスケジュールで就航する。門司、博多からは共同事業者のコスコシッピングラインズジャパン(注2)の外航航路で世界各地へ輸送可能だ。

記念式典では、山形県産業労働部の岡崎正彦部長、酒田市の矢口明子市長が参加し、ともに、モーダルシフトによる二酸化炭素(CO2)排出削減や、「2024年問題」と呼ばれる日本国内のトラックドライバーの時間外労働規制強化に伴う人手不足への対応につながるとの期待を示した。その後、関係者が見守る中、ガントリークレーンを利用したコンテナの積み下ろしのデモンストレーションが行われた。

コスコシッピングラインズジャパンの喜多正樹取締役社長助理はジェトロの取材(5月15日)に対し、同航路の強みとして「近隣諸国に近く、地理的にも優位な位置にある北部九州の港(門司、博多)を介して、中国各港やベトナム・ハイフォン港への直行ルートがある。上海や香港を経由して、中国内陸の武漢や成都への輸送、欧米やオーストラリア、南米、中東・アフリカといった世界各国への輸送を当社が一貫して行うことができることから、目的地によっては輸送に係る日数の短縮につながる可能性がある」と指摘した。また「九州向けの内国貨物と世界向けの海外貨物を内航船輸送という1つの窓口で引き受けられるようになる」として、現在、国内外に向けて他の輸送手段を利用している事業者にとって、新たな選択肢になると述べた。

これまで酒田港を利用した場合、海上輸送期間や料金、便数などの課題があり、山形県内の企業でも、東京港や横浜港など太平洋側の県外港を利用することが多かった。県内陸部から酒田港へのアクセスの課題などはあるが、今回の内航フィーダー航路新設により、県内企業の海上輸送の選択肢が増える。

写真 「みわ」の初入港(ジェトロ撮影)

「みわ」の初入港(ジェトロ撮影)

写真 酒田港関係者らによるテープカット(ジェトロ撮影)

酒田港関係者らによるテープカット(ジェトロ撮影)

(注1)飼料・穀物のバルクカーゴ(ばら積み貨物)など一般貨物輸送と、輸出入コンテナの二次輸送のコンテナフィーダー輸送を中心とした内航船輸送サービスを全国展開している。

(注2)世界最大規模の海運企業の中國遠洋海運集團(コスコ・グループ)のコンテナ船事業を統括する中遠海運集装箱運輸(コスコシッピングラインズ)の100%出資で設立された日本法人。コスコ・グループは世界第4位の船腹量を誇る。

(秋間かをる)

(山形)

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