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米財務省、IRA税額控除のエネルギーコミュニティ加算などに係るガイダンスを発表(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月26日 13時20分

米国財務省は3月22日、インフレ削減法(IRA)に基づく税額控除に係る、エネルギーコミュニティ加算に関するガイダンスを発表した。IRAでは、石炭や天然ガスなど、化石燃料の生産を行っていた地域などにおいて再生可能エネルギー関連の投資や生産・販売を行った場合に、控除額に10%のボーナスが加算される仕組みを採用しており、今回はこの仕組みの詳細を説明するものだ。エネルギーコミュニティとして具体化された内容は次のとおり。

1. 1999年以降に炭鉱が閉鎖されたか、2009年以降に石炭火力発電所が廃止された国勢調査区またはそれに隣接する国勢調査区であること。
2. 化石燃料による雇用や地方税収が大きく、失業率が平均よりも高い地区であること。具体的には、石炭、石油、天然ガスの採掘、加工、輸送貯蔵に関連する直接雇用が0.17%以上、または地方税収が25%以上であり、かつ失業率が前年の全国平均以上であること。
3. ヒ素やアスベストといった有害物質やその他の汚染物質で汚染された土地であるブラウンフィールド(注)であること。

また、本ガイダンスでは、洋上風力発電に関して、洋上風力発電プロジェクトの所有者が所有し、対象となる港湾に設置されている監視制御およびデータ収集システム(SCADA)設備や、陸上の電力調整装置を当該発電施設の銘板容量が帰属する場所として認め、当該設備がエネルギーコミュニティ内に設置されていればエネルギーコミュニティボーナスを受けられるようにすることなども発表された。アメリカン・クリーン・パワー協会(ACP)は声明の中で、この点について「エネルギーコミュニティボーナス税額控除に港湾を含めることで、長い間、経済成長の原動力になってきた地域社会が活性化する」として高く評価している。

バイデン政権は2050年までのカーボンネットゼロの実現に向けて、石油・ガス採掘リースのキャンセル(2023年9月8日記事参照)や既存の石炭火力発電所の段階的な廃止へのコミット(2023年12月5日記事参照)など、化石燃料からの脱却を積極的に進めている。一方、こうしたバイデン政権の姿勢に対しては、インフレや産業競争力、地域雇用などの観点から、ドナルド・トランプ前大統領が批判を強めている。バイデン政権としては、これまでも天然ガス採掘地域でありスイングステートでもあるペンシルベニア州などのプロジェクトの水素ハブへの選定(2023年10月19日記事参照)や、旧石炭コミュニティにおけるクリーンエネルギー関連産業の育成支援(2023年11月28日記事参照)など、化石燃料関連産業への依存度が高いコミュニティにおける雇用などへの影響を抑えるべく取り組んでいる。今回のガイダンスの発表は、こうした取り組みを促進するものとなりそうだ。

(注)ブラウンフィールドについては、内国歳入庁がFAQを公表しており、汚染物質の具体的な対象範囲なども示されている。

(加藤翔一)

(米国)

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