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注目国1位はサウジアラビア、中東進出日系企業実態調査(サウジアラビア、中東)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月27日 0時5分

ジェトロは12月18日、「2024年度 海外進出日系企業実態調査(中東編)」を公表した。中東10カ国に進出する日系企業236社(10カ国、201社から有効回答)に対して、現地での活動実態に関するアンケート調査を2024年9月4~24日に実施し、取りまとめたもの(2024年12月18日記事参照)。

中東進出済みの日系企業の今後の注目国(複数回答可)としては、前年から引き続きサウジアラビアが69.6%で最多となった。2位が59.6%でアラブ首長国連邦連邦(UAE)、3位が25.1%でエジプトだ。

サウジアラビアに進出済みの日系企業において、今後1~2年の事業展開について「拡大」と答えた割合は前年から17.7ポイントと大幅増の55.2%だった。さらに、現地従業員数について、同15.6ポイント増の42.9%の企業が過去1年で「増加した」と回答した。

サウジアラビアの魅力は市場規模や成長性

日系企業の事業拡大や従業員増が見込まれるサウジアラビアにおいて、投資環境面での魅力(複数回答可)としては「市場規模、成長性」が最も多い86.2%で、「対日感情が良い」が34.5%で続いた。

サウジアラビアにおいて有望視するビジネス分野(複数回答可)は、資源・エネルギーが48.1%、サービス業が44.4%、インフラと消費市場がそれぞれ33.3%だった。資源・エネルギーの内訳では、水素、再エネ(太陽光)、石油、再エネ(風力)、天然ガスの順で、化石燃料のほか、再エネも有望視されていることがうかがえる。インフラの内訳をみると、水、都市開発、鉄道などの回答が多かった。砂漠の面積が広く河川が少ない同国では海水淡水化事業が重要であり、国際的な水フォーラムも開催するほか、都市開発においても上下水道の整備などのニーズもある。

人件費の高騰などの課題、地政学的な影響も

一方、サウジアラビアにおける投資環境面での課題(複数回答可)は、「人件費の高騰」が56.7%、「法整備の未整備・不透明性」が53.3%で多かった。また、2024年の営業見込みにおける黒字の割合は、前年比5.4ポイント減の60.0%だ。これは中東全体の69.1%、世界全体の65.9%よりやや低い水準だ。

なお、進出先市場(サウジアラビア)での競合先は、地場企業が47.1%で最大、米国と欧州がそれぞれ17.6%と高い。一方で、中国企業と日本企業はそれぞれ5.9%で割合は低かった。

サウジアラビア進出日系企業において、政治・外交的な動きが企業活動に「大いに影響がある」「やや影響がある」と回答した企業は合計で80.0%だ。特にイスラエル・ハマス衝突や紅海でのフーシ派攻撃を挙げた企業が多い。サウジアラビアでは物流にも影響がある(特集「地政学的影響を踏まえた中東・アフリカの物流動向」参照)。

なお、「2024年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)」では中東と関係の深いエジプトなどのアラブ諸国も対象にしており(2024年12月12日記事参照)、同調査においてアフリカの注目国1位はケニアだった(2024年12月26日記事参照)。

(井澤壌士)

(サウジアラビア、中東)

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