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米司法省、TikTokを児童プライバシー法違反の疑いで提訴(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月8日 0時20分

米国司法省は8月2日、中国発の動画共有アプリ「TikTok」の米国運営会社、および親会社の中国のバイトダンスが、13歳未満のユーザーの個人データを違法に取得したとして、カリフォルニア州中央地区連邦地方裁判所に提訴した。

連邦政府は、インターネット上の子供のプライバシー保護のため、児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)を制定し、ウェブサイト運営者が13歳未満の児童の個人情報を親の適切な同意なしに故意に収集、使用、開示することを原則禁じている。今回の訴訟は、バイトダンスなどが同法に基づく義務に違反していることを理由とするもの。具体的には、(1)TikTokが2019年以降、13歳未満のユーザーが親の同意なく、アカウントを作成・利用することを知りながら故意に許可し、児童から広範な個人情報を収集したこと、(2)親が子供のアカウントを発見し、TikTok側にデータの削除を求めても、その要求に十分に応じなかったことが挙げられている。

米国政府は2019年にも、TikTokの前身(ミュージカリー)をCOPPA違反で提訴したことがあり、その際に、同社はCOPPAを順守するための具体的な措置を講じるよう裁判所から命令を受けていた。

司法省と共同で提訴した連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長はプレスリリースで、「TikTokは子供のプライバシーを故意に繰り返し侵害し、全国の何百万人もの子供の安全を脅かした。特に企業が子供たちを監視し、そのデータから利益を得るために一層高度なデジタルツールを導入している中で、FTCは子供たちをオンライン上で保護するために、今後もその権限を最大限に活用していく」と述べた。

TikTokの広報担当者は声明で、同社のプラットフォームは「厳格なセーフガードを備え、年齢に適した体験」を提供し、法定年齢に満たないと疑われるユーザーを「積極的に」排除していると述べた。司法省側の主張には同意せず、「申し立ての多くは過去の出来事や慣行に関するもので、事実無根であるか、既に対処済みだ」と反論した(CBSニュース8月2日)。

なお、連邦議会では7月30日、インターネットにおける子供の安全とプライバシーを目的とした2つの法案(注1、2)が上院で圧倒的多数で可決されるなど、大手テック企業を規制するための取り組みに進展がみられている。両法案の可決を受け、ジョー・バイデン大統領は、上院が「超党派の重要な一歩」を踏み出したと称賛した。ただし、法律の成立には、下院で可決される必要がある。マイク・ジョンソン下院議長(共和党、ルイジアナ州)は法案を検討する意向を示しているが、現議会の会期は年内6週間強しか残されておらず、2024年中に可決できるかは不透明な状況だ(「ワシントン・ポスト」紙電子版7月30日)。

(注1)「子供オンライン安全法案(Kids Online Safety Act、KOSA)」は、テック企業に、利用者に対するアクセス制限や表示されるコンテンツを管理し、プラットフォーム上のプライバシー保護や保護者による監督機能の強化を定める。

(注2)「児童および青少年のオンラインプライバシー保護法案(The Children and Teens’ Online Privacy Protection Act、COPPA 2.0)」は、テック企業が17 歳未満のユーザーから同意なしに個人情報を収集することを禁じる。具体的には、子供や青少年にターゲットを絞った広告を禁止し、親や子供が個人情報を削除できる権限を与える。

(樫葉さくら)

(米国、中国)

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