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S&P、コートジボワールの格付け見通しをポジティブに引き上げ(コートジボワール)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月3日 0時35分

スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)・グローバル・レーティングは5月17日、コートジボワールの格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げ、長期ソブリン債格付けを「BB-」、短期格付けを「B」に確定した。「BB-」はサブサハラ・アフリカ地域では、ボツワナ(BBB+)、モーリシャス(BBB-)に次ぐ高評価となった。南アフリカ共和国も「BB-」だが、見通しが「安定的」のため、コートジボワールが初めて優位に立った。今回の引き上げは、経済、社会、政治分野での進歩が評価され、政府による中・長期的な改革への強い信頼感を反映している。

S&Pによると、コートジボワール経済は対外不均衡が予測を上回るものの、インフラ投資や鉱業、化石資源の各部門が好調で、産業化の促進、サービスセクターの成長も見込まれることから、高い経済成長が期待できると評価している。2023年は、カカオの減産にもかかわらず、バレン油田の石油・ガス生産開始、内陸部の鉱物増産、アグリビジネス、繊維産業、建設、港湾事業の好調、コミュニケーションテクノロジーの拡大により、GDP成長率は6.5%を維持した。

債務状況も、2024年1月のユーロ債発行により改善されたと評価している。2年ぶりに国際資本市場に復帰したコートジボワールは、26億ドルの調達を実現したことで、今後の政府歳入に対する利払いの比率は15%以下に抑えられると予測している。

また、国際援助機関との強力な関係を通じて、財政支援と改革実施に必要な協力を得ている点も評価された。IMFは、拡大クレジットファシリティー(Extended Credit Facility:ECF)(注1)と拡大信用供与(Extended Fund Facility: EFF、注2)で総額35億ドル(2023年5月1日記事参照)の強靭(きょうじん)性・持続可能性ファシリティー(Resilience and Sustainability Facility:RSF、注3)で約13億ドルの融資枠に合意しており、4月のIMFレビューでは、同国の取り組みを高く評価し、理事会での承認を経て、約5億7400万ドルが支出される予定だ。

財務・予算省は、アフリカ地域で唯一「ポジティブ」の見通しを得たことを歓迎した。さらに、2024年3月のムーディーズの格上げ(Ba3からBa2)にも言及し、自国がアフリカで最も魅力的なビジネス投資先国の1つと発表した。

(注1)ECFは、国際収支上の問題が長期化している低所得国を対象に、中期の金融支援を提供するプログラム。

(注2)EFFは、国際収支に問題を抱え、抜本的な経済改革を必要とする国に対する金融支援を行うプログラム。

(注3)RSFは、気候変動とパンデミックへの備えに関連するリスクなど、将来の国際収支の安定性に対するリスクを軽減するための改革を実施する国に対する低コストの長期融資を提供するプログラム。

(橘欣子、水野大輔)

(コートジボワール)

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