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グリーン転換に関する意見を発表、生態文明改革への方針示す(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月13日 16時20分

中国国務院は8月11日、「経済・社会発展における全面的グリーン転換の加速に関する意見」を発表した。本意見は、中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)などで提唱された、生態文明の改革に関連し、中国における資源、環境、生態に関する課題を解決するための基本政策の策定に向けたものとしている。

同日に実施された、国家発展改革委員会による本意見に関する記者会見では、石炭に偏ったエネルギー構造や産業構造などの情勢は変わっておらず、化石エネルギーと伝統産業のシェアは依然として高く、生態環境の質を着実に向上させる基盤はまだ固まっていないと指摘している。

意見では、主要目標として、2030年までに重点分野でグリーン転換を進展させ、汚染削減と炭素排出削減の相乗効果を強化し、主要資源の利用効率を向上させ、経済・社会の発展における全面的グリーン転換において顕著な成果を得るとしている。さらに、2035年までに、グリーン・低炭素・循環による経済発展システムを確立し、主要資源の利用効率を国際的なトップレベルに到達させるとしている。

意見では実施すべき方針の1つに「協働的変革」を掲げている。これは、異なる地域や産業における発展状況を考慮し、総合的な推進と重点分野の課題解決の連携を堅持し、グリーン転換のタイムテーブル、ロードマップ、設計図を科学的に定め、条件を備えた地域や産業が先行して探求することを奨励している。各地域の発展計画として、京津冀では北京市・天津市・河北省の協調発展を促進し、生態環境の協調保護のメカニズムを完備し、雄安新区をグリーン発展都市モデルとして建設することを支援するとしている(注1)。また、広東・香港・マカオグレーターベイエリアの建設と長江デルタの開発を深化させ、世界レベルのグリーン・低炭素産業クラスターを形成するとした。

意見では2030年までの具体的な数値目標も掲げられている。

省エネおよび環境保護産業の規模を約15兆元(約300兆円、1元=約20円)に到達させる。
非化石エネルギーの消費比率を約25%に引き上げる(注2)。
揚水発電設備の容量を1億2,000万キロワット(kW)超にする(注3)。
交通車両における売上高換算単位当たりの炭素排出原単位を2020年比で約9.5%減少させる。また、2035年までに新エネルギー車を新車販売の主流にする。
循環型経済発展に向け、固体廃棄物の年間利用量を約45億トンに到達させ、主要資源産出率(注4)を2020年比で約45%引き上げる。

(注1)中国国務院は本意見のほかに、8月7日に「中国・シンガポール天津エコシティー建設における国家グリーン発展モデル区実施方案(2024-2035年)」を発表し、2035年までに天津エコシティーのグリーン開発の主な指標を国際的なトップレベルに到達させるとしている。

(注2)中国生態環境部が2023年10月に発表した「中国の気候変動対応の政策と行動2023年度報告」では、2022年末時点でエネルギー総消費量に占める非化石エネルギーの割合は17.5%と報告されている(2023年11月7日記事参照)。

(注3)中国国務院が2024年5月に発表した「2024~2025年の省エネ・炭素削減行動プラン」では、2025年までに揚水発電による蓄電と新型エネルギー貯蓄設備により、それぞれ6,200万kW、4,000万kWの電力貯蓄を可能とする目標を示している(2024年6月12日記事参照)。

(注4)主要資源産出率はGDP(億元、不変価格)を主要資源物質消費量(億トン)で除したもの。主要資源は化石燃料(石炭、石油、天然ガス)、鉄鋼資源、非鉄金属資源(銅、アルミニウム、鉛、亜鉛、ニッケル)、非金属資源(石灰石、リン、硫黄)、バイオマス資源(木材、穀物)を指す。国家発展改革委員会が2021年7月に発表した「循環経済の発展に関する第14次5カ年(2021~2025年)規画」では、2025年までに主要資源産出率を2020年比で約20%引き上げるとしている。

(亀山達也)

(中国)

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