華東地域3省、上半期は中国全体を上回る成長も伸び率は鈍化傾向（中国）

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中国の華東地域3省（江蘇省、浙江省、安徽省）の各統計局は2024年上半期の主要経済指標を発表した（注1）。各省の域内総生産（GRP）は、江蘇省が前年同期比5.8％増の6兆3,326億元（約139兆3,172億円、1元＝約22円）、浙江省が5.6％増の4兆920億元、安徽省が5.3％増の2兆3,967億元となり、3省とも中国全体の2024年上半期のGDP成長率（5.0％）（2024年7月17日記事参照）を上回った（添付資料表参照）。江蘇省の成長率は2023年通年の成長率（前年比5.8％増）と横ばいだったが、浙江省（6.0％増）、安徽省（5.8％増）はいずれも低下した。

江蘇省の一定規模以上の工業企業（注2）による工業生産増加額は、前年同期比8.6％増となった。産業別にみると、ハイテク産業や戦略的新興産業（注3）が大幅に増加し、全体に占める割合はそれぞれ50.6％、41.3％だった。このうち、コンピュータ・通信およびその他電子機器は13.8％増、自動車は12.6％増、鉄道・船舶が11.8％増だった。

浙江省の同工業生産増加額は、前年同期比8.0％増だった。製品別にみると、サービスロボットが87.9％増、スマートフォンが34.7％増、新エネルギー車が27.9％増、集積回路が25.4％増だった。また、業種別ではサービス業が5.0％増と好調だった。このうち、情報通信・ソフトウエアと情報技術サービスが9.4％増、交通運輸、倉庫・郵便が8.9％増、賃貸管理およびビジネスサービスが8.9％増、卸・小売りが8.8％増となった。

安徽省の同工業生産増加額は、前年同期比8.5％増だった。業種別にみると、鉱業が0.4％増、製造業が9.6％増、電力・熱エネルギー・ガスなどの生産・供給が7.0％増、製造設備が15.2％増、ハイテク製造装置が22.3％増となった。また、製品別にみると、自動車、集積回路および工業用ロボットがそれぞれ46.7％増（うち、新エネルギー車が81.4％増）、69.9％増、44.0％増だった。

その他の指標においては、江蘇省・浙江省・安徽省の社会消費品小売総額はそれぞれ4.9％増、4.5％増、4.1％増と伸びたが、不動産開発投資額は、江蘇省（9.5％減）、安徽省（16.9％減）ともに減少した（浙江省は未発表）。また、貿易総額の伸び率は3省とも中国全体の伸び率を超え、とくに輸出は、江蘇省（8.0％増）、浙江省（8.6％増）、安徽省（9.7％増）と大幅に増加した。

なお、2024年のGRP成長率については、江蘇省が5％以上、浙江省が5.5％前後、安徽省が6％前後の目標を掲げていた（2024年2月2日記事参照）。上半期の実績では、江蘇省と浙江省は目標値を上回ったが、安徽省は下回った。

（注1）浙江省は7月18日、安徽省は7月19日、江蘇省は7月24日に発表。

（注2）その年の主な業務による売上高が2,000万元以上の工業企業。

（注3）次世代情報通信技術、バイオ医薬品製造、デジタル経済、ハイレベルな製造設備、新素材、海洋経済、グリーン低炭素などの産業を指す。

（龐婷婷）

（中国）