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9月の米住宅ローン金利、利下げを受け低下、住宅建設事業者の信頼感が改善(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月2日 1時5分

米国連邦住宅金融抵当公庫(フレディマック)は9月26日、9月第4週の住宅ローン金利を公表した。連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待が続いたほか、実際に積極的な利下げが実施されたこと(2024年9月19日記事参照)を受け、30年固定物住宅ローン金利は6.08%と、2023年2月以来の水準にまで低下した。

こうした金利低下の影響を受け、住宅建設事業者の信頼感は回復傾向にある。全米住宅建設業者協会(NAHB)と米金融機関ウェルズ・ファーゴが9月17日に発表した住宅マーケット指数(HMI)では、新築戸建て住宅市場に対する建設事業者の信頼感が5カ月ぶりに回復した。特に6カ月先の販売見込み指数は前月の49から53に大きく改善しており、利下げに伴う需要の回復を見込んでいることがうかがえる。

こうした傾向は、米商務省が9月18日に発表した8月の住宅着工件数にも表れている。住宅着工件数は、前月からの反動増もあり、前月比9.6%増(前月6.9%減)と大きな伸びを見せ、特に戸建て住宅が同15.8%増(前月12.8%減)となった。先行きを占う住宅着工許可件数も、前月比4.9%増(前月3.3%減)で、このところの金利低下が好感されているもようだ。

他方、利下げ期待は現時点では販売件数の回復には結びついていない。米商務省が発表した新築住宅販売は年換算で前月比4.7%減の71万6,000戸、全米不動産協会(NAR)が発表した中古住宅販売は前月比2.5%減の386万戸と、いずれも低調だった。もっとも、NAHBは「住宅ローン金利の低下に伴い、今後数カ月で中古住宅市場が活性化し、在庫の改善で価格上昇が緩和され、手頃になりそうだ」と期待を示す。最近の金利低下を受けて、中古住宅の在庫水準はわずかながらも増加傾向にあり、新築住宅の在庫についても、住宅着工が今後増加していくと考えられることから、新築・中古ともに販売件数は徐々に改善していく可能性が高い。

今後の住宅市場を占う上では、政策動向にも注目だ。民主党大統領候補のカマラ・ハリス副大統領は9月25日に発表した政策集(2024年9月27日記事参照)の中で、住宅建設促進のため、400億ドル規模の基金の創設や、住宅建設に対する税額控除の導入などを通じて、手頃な価格の住宅を建設すると発表している。また、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領も、連邦政府の所有地を住宅開発用に開放し、住宅建設に関する規制を緩和することで、住宅供給を増加させると主張している。両候補が提案するこれらの政策が手頃な価格の住宅供給にプラスの影響をもたらすと考えられる一方、ハリス氏が提案する住宅建設に係る各種の連邦規制の採用(2024年6月6日記事参照)や、家賃引き上げ制限(2024年7月17日記事参照)などに加え、トランプ氏が主張する厳しい移民政策に伴う建設労働者の不足や、関税引き上げに伴う建築資材の価格上昇などで、住宅供給にマイナスの影響を及ぼす可能性もある。

(加藤翔一)

(米国)

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