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下院、年金制度改革法案を可決(コロンビア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月21日 11時20分

コロンビアのグスタボ・ペトロ政権が提出した年金制度改革法案が6月14日、下院で賛成86、反対32で可決された。大統領の署名を経て施行となる。公的保険の比重を増やし、無年金の高齢者への支援を行うなどの内容となっている。

年金制度改革は医療保険制度改革や、労働制度改革と並ぶ同政権が目指す3大社会改革の1つ。医療保険制度改革に関しては、国会提出から1年以上を経て4月に上院で否決されただけに、今回の年金制度改革法案の可決は、「変革の政府」を掲げる同政権には貴重な成果となった(2024年4月10日記事参照)。

年金制度改革により、最低賃金の2.3倍までの全労働者は公的年金基金のコルペンシオネス(Colpensiones)に保険料を納付し、それを超える賃金の場合は超過分のみを民間基金に納付することになる。例えば、最低賃金の5倍の人の場合、2.3倍分についての保険料をコルペンシオネスに、残りの2.7倍分については各自が選ぶ民間基金にそれぞれ納付する。これまでは高額所得者でもコルペンシオネスのみ、または民間基金のみに納付するケースが多かったが、施行後は全員、2.3倍分までをコルペンシオネスに納付する。また、女性は納付期間が1,300週から1,000週に短縮されるほか、子供1人につき拠出期間が50週短縮(子供3人分まで)される。さらに、年金を受け取れない貧困高齢者は「連帯制度」として月23万ペソ(約8,740円、1ペソ=約0.038円)程度の生活手当が支給される。政府はこの改革により、対象者の年金カバー率を施行1年目で24%から53.73%(約466万2,000人)、2052年には87%(約1,370万人)に引き上げることができるとしている。

今回の制度改革では、保険料率(16%)や受給年齢(男性62歳、女性57歳)に変更はないが、コロンビアでも少子高齢化が進むことから、制度を維持するために早晩、これらにも変更を加える必要があるとも指摘されている。新制度を受け入れることになったコルペンシオネスのハイメ・ドゥサン総裁は「エル・ティエンポ」紙のインタビュー(6月18日掲載)で「技術的にも管理上も、この改革による負担や責任を引き受ける準備は整っているが、5年後か10年後には、定年年齢を調整するために、新たなイニシアチブを取らなければならなくなる可能性が高い」と警告している。

(豊田哲也)

(コロンビア)

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