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米財務省、CFIUS執行事例を公表、Tモバイルに罰金6,000万ドルなど(米国、日本、ドイツ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月16日 11時15分

米国財務省は8月14日、対米外国投資委員会(CFIUS)関連情報を掲載したウェブサイトを更新し、罰則が科された法令義務違反行為の内容、罰則の加重・軽減要因などの具体情報を公開した。

CFIUSは、外国から米国への投資が国家安全保障に脅威をもたらすかどうかを審査する省庁横断の委員会だ。投資内容によっては、取引当事者はCFIUSへの事前申請が義務付けられる(注)。当事者がCFIUSへの事前申請を怠った場合や重大な虚偽の説明を行った場合、また当事者がCFIUSと合意したリスク軽減措置を適切に履行しなかった場合には、義務違反として罰則の対象となり得る。罰則の内容は、2022年に財務省が公表したCFIUSの執行と罰則に関するガイドライン(2022年10月21日記事参照)に基づいて、罰則の加重・軽減要因を勘案して決定される。

財務省は今回のウェブサイトの更新で、8件の義務違反の事例を公開した。このうち、2024年にCFIUSが米国通信大手Tモバイルに対して6,000万ドルの罰金を科した事例は、同社と日本のソフトバンクの米国子会社(当時)スプリントとの2018年の合併取引に関するもの。Tモバイルが取引を通じて外国企業に所有されるとの懸念から、同社はCFIUSと国家安全保障協定(NSA)を締結したにもかかわらず、特定の機密データへの不正アクセス防止のための適切な措置を履行しなかったこと、CFIUSへの報告を怠ったことなどが義務違反に当たるとした。Tモバイルは、今後のNSAの確実な順守に向けて米国政府と協力することを約束している。なお、Tモバイルは、ドイツ通信大手のドイツテレコムが過半数の株式を保有する。

財務省のポール・ローゼン次官補(投資安全保障担当)はウェブサイトの更新に関する声明で、「ここ数年でCFIUSはそのリソースを倍増させており、執行と説明責任に重点を置いている。CFIUSは国家安全保障を守るために必要な取り組みを企業に求め、企業がそれを怠れば、相応の処分が下される」と述べ、執行強化と透明性確保の目的を指摘した。

なお、CFIUSは2023年7月にCFIUSの審査対象となる取引の範囲を拡大する規則案を発表している(2024年7月9日記事参照)。

(注)財務省が7月23日に公表した年次報告書によると、2023年のCFIUSへの事前申請件数は342件(2024年7月24日記事参照)。CFIUSの概要や動向に関しては、ジェトロの2023年10月2日付地域・分析レポート調査レポート「米国の経済安全保障に関する措置への実務的対応」も参照。

(葛西泰介)

(米国、日本、ドイツ)

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