米ニューハンプシャー州知事選は共和党のアヨット元上院議員が勝利、国政選挙はいずれも民主党が勝利(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月7日 11時20分
11月5日の米国大統領選挙と同時に実施されたニューハンプシャー州知事選で、共和党のケリー・アヨット元上院議員が民主党のジョイス・クレイグ元マンチェスター市長らを破り、当選を確実にしたと複数の報道機関が報じた。アヨット氏は同州で司法長官(2004~2009年)や連邦上院議員(2010~2016年)を務め、国境に関する措置や薬物取り締まりに深く携わってきた。また、家族に米軍関係者が複数いるほか、自身もBAEシステムズ社の役員を務めた経歴を持ち、退役軍人団体を支援するなど、軍事にも関連が深い。
同州では、クリス・スヌヌ知事(共和党)が2017年以降4期(注)にわたって知事を続けてきたが、同氏が5期目の再選に向けた立候補を断念したことに伴い、その後継を巡って争われた。アヨット氏はスヌヌ知事の掲げた反増税・親ビジネス路線の継続を訴えるとともに、自身が同州の司法長官を務めた経歴にも触れながら、対立候補のクレイグ氏がマンチェスター市で犯罪やホームレス、薬物過剰摂取の対策に失敗したとの批判を軸に選挙戦を進めた。一方、クレイグ氏は国政での民主党の主張に沿って、住宅対策や公教育の強化、人工妊娠中絶問題などを取り上げ、特に中絶に関するアヨット氏の姿勢を攻撃したものの、及ばなかった(NECNニュース11月5日)。
アヨット氏は郊外に加え、同州の最大都市でクレイグ氏が市長を務めたマンチェスター市や、同州第2位の人口を持つナシュア市など、マサチューセッツ州との州境沿いの都市部でも得票を伸ばした。同氏は勝利演説で「このキャンペーンを発表したとき、私たちはあと1回の選挙でマサチューセッツ州になってしまうかもしれないと言った。しかし、私の任期中はそうならない」と述べ(NBCニュース11月5日)、リベラルな政策に対する反感が同氏の得票に結び付いた可能性がある。
他方、国政選挙では、いずれも民主党が制している。大統領選は開票率95%の時点でカマラ・ハリス副大統領が39万9,659票(51%)を集め、ドナルド・トランプ前大統領に勝利した。また、連邦下院議会選でも現職のクリス・パッパス下院議員(民主党)、アニー・カスター下院議員(民主党)の後継指名を受けたマギー・グッドランダー氏(民主党)が勝利し、改選前の2議席を維持することに成功している。
ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙結果と各国・地域の反応」では、大統領選の結果状況と各国の反応に関する最新動向を随時紹介している。
(注)米国の多くの州では、知事の1期の任期は4年だが、ニューハンプシャー州を含む幾つかの州では任期2年となっている。
(加藤翔一)
(米国)
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