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輸出禁止・制限リストの改正案公表、電池の正極材製造技術などを制限対象に追加(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月14日 15時15分

中国商務部は1月2日、「対外貿易法」「技術輸出入管理条例」の規定に基づき、科学技術部などとともに、「輸出禁止・制限技術目録」の改正案を策定・公表し、2月1日までの期間で意見募集を開始した。

同目録は、中国からの輸出を制限あるいは禁止する技術を規定したもので、輸出禁止技術の項目に掲載した技術は輸出できず、輸出制限技術として掲載した技術を輸出する場合は、商務主管部門に申請を行って、技術輸出許可証を取得する必要がある(注1、注2)。同目録はこれまで度々見直しが行われており、現行の目録は2023年12月21日に改正されたものとなる(2023年12月28日記事参照、注3、注4)。

今回の改正案では、輸出を制限する技術として、電池の正極材の製造技術のうち、リン酸鉄リチウムやリン酸フェロマンガン、リン酸塩正極材の製造技術が追加された。このほか、炭酸リチウム製造技術やリチウム合金および同材料の製造技術も追加された。

リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池は三元系リチウムイオン電池と並んで現在主流となっているEV用車載電池であり、三元系電池に比べてエネルギー密度が低い一方、鉄とリン酸を主な材料としており、ニッケル、マンガン、コバルトといった希少金属の使用が少ないことから、生産コストが安いのが特徴となっている。2024年1~9月における中国市場の車載電池出荷量(搭載ベース)に占めるLFP電池の割合は71.4%となっている。同期間のLFP電池のメーカー別出荷量ランキングを見ると、寧徳時代新能源科技(CATL)が全体の36.9%を占め最も多く、続いて比亜迪(BYD、34.2%)、中創新航科技(6.3%)、国軒高科(5.0%)の順となっており、LFP電池の海外生産プロジェクトも計画されている(2024年12月18日付地域・分析レポート参照2024年12月16日記事参照)。また、中国は正極材において世界出荷量の大半を占めており、特にLFP電池の正極材の9割は中国企業によって生産されているとの報道もある(2023年12月21日付地域・分析レポート参照、「界面新聞」2025年1月7日)。

(注1)「技術輸出入管理条例」によると、技術輸出入とは、中国境外から境内に対して、あるいは、中国境内から境外に対して、貿易や投資、経済技術協力の方法によって、技術移転する行為を指す。なお、同条例では、技術移転行為には、特許権や特許出願権の譲渡、特許実施の許諾、ノウハウの譲渡、技術サービス、その他の方法による技術移転が含まれると規定している。

(注2)輸出制限技術の輸出許可申請プロセスについては、ジェトロ調査レポート「輸出禁止・輸出制限技術目録(実務上のポイント)」を参照。

(注3)なお、両用品目や軍需品、核などに関連する技術の輸出については、「輸出管理法」や「両用品目輸出管理条例」に基づいて管理するものとされている(ジェトロ調査レポート「輸出禁止・輸出制限技術目録の概要」参照)。

(注4)なお、商務部報道官は1月9日、今回の改正は定例的なもので、特定の業種や国を対象としたものではないとコメントしている。

(小宮昇平)

(中国)

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