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2024年のMENAの経済成長率予測は0.7ポイント下方修正の2.4%、地域情勢悪化と石油減産方針が影響(中東、サウジアラビア、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦、パレスチナ、アフリカ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月28日 0時40分

世界銀行は6月11日に「世界経済見通し」〔プレスリリース(英文)、(和文)〕を発表した(2024年6月17日記事参照)。2024年の世界経済成長率(実質GDP伸び率)は2.6%の予測で、前回見通し(2024年1月)から0.2ポイント上方修正した。一方で、中東・北アフリカ(MENA、注)では、地域情勢の悪化もあり、前回見通しから0.7ポイント下方修正の2.4%の見込みだ。

中東・北アフリカ地域の経済成長率見込みは次のとおり。

2023年:1.5%(推計値)
2024年:2.8%(前回から0.7ポイント下方修正、予測値)
2025年:4.2%(前回から0.7ポイント上方修正、予測値)
2026年:3.6%(予測値)

パレスチナ情勢悪化や産油国での減産が経済に影響

報告によると、中東・北アフリカでは、イスラエルとハマスの衝突など地政学的緊張があり、政策の不確実性も⾼まっているという。また、同衝突の影響により紅海では民間船舶へ攻撃が行われ、スエズ運河の通航船数が減っており、国際貿易にも混乱が生じている(ビジネス短信「国際物流の混乱と企業の対応状況」参照)。さらに、パレスチナの情勢悪化により、エジプトなど近隣国の観光業にも影響を及ぶとしている。今後、パレスチナ情勢がさらに悪化すれば、地域経済の成長の下振れ要因になると指摘する。

ヨルダン川西岸とガザ地区を含むパレスチナ自治区の経済は、2023年に6.4%のマイナス成長、2024年も6.5%のマイナス成長の見込みだ。

また、OPECプラスでは石油減産方針を2025年末まで延長するとしており、産油国では石油収入が減少している。一方、石油生産の「自主的追加減産」は、2024年10月からの段階的な廃⽌が合意されたこともあり(2024年6月4日記事参照)、2025年には、湾岸協⼒会議(GCC)加盟国のほか、アルジェリアとイラクでも石油部門が回復し、成⻑が見込まれるという。

産油国のサウジアラビアでは2023年に0.9%のマイナス成長だったが、2024年の経済成長は2.5%のプラス成長を見込み、2025年は5.9%に加速する見込みだ。

中東・北アフリカの主要国の成長率見込みは次のとおり(イランとエジプトは会計年度、その他は暦年)。

サウジアラビア:2024年2.5%、2025年5.9%、2026年3.2%
UAE:2024年3.9%、2025年4.1%、2026年4.0%
イラン:2024年3.2%、2025年2.7%、2026年2.4%
イラク:2024年マイナス0.3%、2025年3.8%、2026年5.3%
カタール:2024年2.1%、2025年3.2%、2026年4.7%
モロッコ:2024年2.4%、2025年3.7%、2026年3.3%

(注)同報告では、アルジェリア、バーレーン、ジブチ、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、カタール、サウジアラビア、シリア、チュニジア、アラブ首長国連邦(UAE)、パレスチナ、イエメンを中東・北アフリカに含んでいる。同報告ではトルコは同地域に含まない。

(井澤壌士)

(中東、サウジアラビア、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦、パレスチナ、アフリカ)

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