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コペンハーゲンでテックカンファレンス「テックバーベキュー(TechBBQ)」が開催(デンマーク)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月20日 1時5分

デンマークのコペンハーゲンで91112日、テックカンファレンス「テックバーベキュー(TechBBQ)」が開催された。2023年の開催時には約2,400社が出展し、2日間で延べ7,500人超が来場したカンファレンスだ。会場内では、ヘルスケアおよびクリーンテック分野など、さまざまなスタートアップが出展し、同分野に関するカンファレンスも開催され盛況だった。

写真 ネットワーキングのしやすさを重視した規模感のテックバーベキュー(ジェトロ撮影)

ネットワーキングのしやすさを重視した規模感のテックバーベキュー(ジェトロ撮影)

北欧のテックカンファレンスとしては、来場者13,000人規模となるフィンランドのスラッシュが有名だが、テックバーベキューは、中規模の開催とすることで、より効果的なネットワーキングや商談をすすめやすい雰囲気を作り上げている。また、スタートアップによる出展に加えて、支援機関やアクセラレーターによる集合出展なども多く、スタートアップを取り巻くエコシステムも数多く紹介された。

写真 ベンチャーキャピタルやアクセラレーターなどの支援機関による集合出展の様子(ジェトロ撮影)

ベンチャーキャピタルやアクセラレーターなどの支援機関による集合出展の様子(ジェトロ撮影)

テックバーベキュー主催者広報担当のイェンツ・マドセン氏によると、同カンファレンスのもう1つの魅力はデンマークのイノベーションエコシステムとネットワークを構築できることだという。同氏は「デンマークのイノベーションエコシステムが欧州の中で特に優れていることも、テックバーベキューに参加する大きな魅力となっている」と語る。20247月に欧州委員会が発表したEU加盟国のイノベーション環境を評価する「欧州イノベーション・スコアボード(2024年版)」によると、デンマークは前年に引き続き、EU加盟国の中で最上位に位置づけられている。特に「人材の質の高さ」、国際的な研究・論文執筆の多さに裏付けられた「研究環境」、官民の「連携」で優れているほか、ベンチャーキャピタル(VC)の支出も2019年以降大きく改善しており、マドセン氏の発言を裏付けている。

起業についてはやや消極的という点も指摘されているが、設立された企業・機関による研究開発や、良好なビジネス環境や官僚主義の少なさ、充実したインフラには大きな強みがあるとしている。一方、成長したスタートアップの国外流出が大きな課題とされている。20248月にデンマーク商工会議所が発表した資料によると2000年以降に設立創業したユニコーン企業12社のうち8社が本社を国外に移転したという。同資料では、国外への流出防止に向けて、国内外の優秀な人材へのアクセスの改善やキャピタルゲイン税率の引き下げなどの取り組みが必要としている。

こうした課題を解決するためデンマーク政府は20246月、起業家支援のためのイニシアチブを発表し、同国における環境改善に取り組んでいる。具体的には、従業員への報酬を所得税非課税の従業員株式のかたちで提供する場合の上限撤廃、高度人材を対象とした所得税優遇の対象の引き下げなどの人材確保のための取り組みや、未上場企業からの配当収入免税措置の拡大などの投資を後押しする内容などが含まれている。

写真 スタートアップの育成と流出防止対策について議論するモーテン・ブズコフ ビジネス相(壇上の右側)(ジェトロ撮影)

スタートアップの育成と流出防止対策について議論するモーテン・ブズコフ ビジネス相(壇上の右側)(ジェトロ撮影)

(福井崇泰)

(デンマーク)

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