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米カリフォルニア州で世界最大規模の大型トラック専用の水素ステーション開設(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月7日 0時5分

米国カリフォルニア州の水素ステーション事業者最大手ファースト・エレメント・フューエル(FEF、カリフォルニア州アーバイン市)は4月23日、同州のオークランド港に世界最大規模の大型車両用水素ステーションとなる、オークランド多機能ステーションを開設した。

FEFによれば、同ステーションは1日当たり1万8,000キログラムの水素供給が可能で、1日に200台の重量トラックと400台の軽量トラックへの水素の充填(じゅうてん)が可能としている。また、同社の発表によれば、同ステーションは80キログラムの水素をトラックに10分以下で急速充填することができる世界初のステーションとなる。

カリフォルニア州では、2036年にガソリンや軽油を燃料とする中型・大型トラックの販売は禁止になり、電気や水素などを動力源とするゼロエミッションのトラックのみの販売が許可される(2022年9月1日記事参照)。既に港湾の運送業務に用いられる車両には、2024年からゼロエミッション技術の実装が始まっている。クラス8(注1)の水素燃料車を展開する現代自動車は、同社の燃料電池大型トラックの「エクシェント」を30台投入し、この新水素ステーションでの水素充填を約束している。同社の商用車・水素業務開発部長のユージン・リトビノフ氏は「港湾運送業務に用いられる大型トラックは古い型のモデルが多く、荷物の搬入を待つ際の長時間のアイドリングが大気汚染の原因となっている。オークランド港の港湾運送業務に30台の水素燃料電池トラックを使用することで、5,000万ポンド(約2万2,680トン)の二酸化炭素(CO2)排出量を削減できる」と述べた。

FEFは、水素充填インフラ開発に10年を費やしている。2015年に設置された水素ステーションは、主に乗用車向けに気体水素を使用したもので、1日当たりの供給量は20キログラムだった。専門誌「フリートオーナー」によると、FEFの創設者兼最高経営責任者(CEO)のシェーン・ステファン博士は、気体水素は運輸的にも非効率で車への充填も時間がかかることから、需要に追い付かないことが分かったという。水素燃料電池車の市場拡大にはインフラ整備が必須との考えから、大量輸送に加え、ガソリン給油と同等の効率的な水素充填を可能とする、液体水素の使用に切り替えたとのこと。液体水素は世界中で入手できるわけではないが、カリフォルニア州オンタリオにある工場と、ネバダ州ラスベガスに建設されたエア・リキード社の工場のものを、同水素ステーションで使用するという(「フリートオーナー」2024年4月25日)。また、水素ステーションで、クライオポンプ(注2)を導入することにより、ワンステップで液体水素を冷却圧縮された水素に変換できる。この全てのプロセスを整えたことで、FEFは事業拡大できたという。

(注1)人員、貨物などを含む車両総重量が3万3,001ポンド(約15トン)以上の重さの大型トラック。

(注2)真空容器内に極低温面を設置し、容器内の気体分子を凝縮、または吸着させて、排気するポンプ。水素のような蒸気圧の高い気体は20ケルビン(絶対温度)以下に冷却された吸着剤により排気される。

(松井美樹)

(米国)

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