一部鉄鋼セーフガード対象製品の関税割当増加を提案(英国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月13日 13時10分
英国の貿易救済庁(TRA)は8月9日、現在適用されている鉄鋼製品に対するセーフガード措置(以下、同措置)について、一部対象製品の関税割当枠を増加する提案を発表した。同措置は現在15項目の鉄鋼製品を対象に関税割当枠を設定、割当枠を超過した輸入分について25%の追加関税を課すもので、2026年6月30日まで適用される(2024年2月28日記事参照)。そのうち1項目(カテゴリー1「非合金またはその他合金の熱間圧延板またはストリップ」、注)について、割当枠を増やす(TRAウェブサイト参照)。具体的には現在のカテゴリー1を、カテゴリー1A(以下、1A)とカテゴリー1B(以下、1B)に分ける。対象製品に変更はないものの、1Aについてはカテゴリー1の関税割当を引き継ぎ、1Bについては追加で全世界を対象とした関税割当を設定する(添付資料表1参照)。
今回の割り当て増加の背景の1つとして、インド鉄鋼大手タタ・スチールがウェールズ南部ポートタルボットに有する製鉄所高炉の電炉転換がある(2023年9月22日記事参照)。同社はカテゴリー1の製品を年間300万~400万トンを製造、国内市場に40万~60万トンを販売していたが、今般の電炉転換に伴い生産量が減少、供給不足を補うべく英国全体で輸入が増加した(添付資料表2参照)。
TRAは今回の提案にかかる調査の中で、英国に輸入されるカテゴリー1の製品について、特定の商品に利用される場合と、別の鉄鋼製品の原材料として用いられる場合があるとした。今回新たに割り当てを設定する1Bについては、後者を目的とした輸入を対象とするとしている。また、TRAは1Bに対する関税割当につき、全輸入量に対して1カ国・地域に適用可能な割当の上限比率を設定する案も提示。設定する場合、37~42%の範囲を提案している。
(注)対象となる製品のHSコードは英国政府ウェブサイト参照。
(山田恭之)
(英国)
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