ブリンケン米国務長官、石破首相らと会談、日本企業の対米投資の重要性確認(米国、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月8日 10時55分
米国のアントニー・ブリンケン国務長官は1月7日、訪問先の日本で石破茂首相、岩屋毅外相と会談を行った。
ブリンケン長官と石破首相との会談で、両者は日本企業による対米投資を含む日米経済関係の重要性を確認した。また、長官は首相に対し、米国が日本との経済・貿易関係を今後も深化させる決意を明確にした(米国側発表、日本側発表)。岩屋外相との会談では、両者は日米同盟がインド太平洋地域の安全保障と繁栄の礎だと再確認した。両者は日本製鉄によるUSスチール買収計画を含めた経済分野についても意見交換を行い、日本企業による対米投資を含む日米経済関係の重要性を確認した(米国側発表、日本側発表)。
ブリンケン長官はこれらの会談後に東京で行った記者会見で、バイデン政権下の日米関係を総括し、経済面で両国が相互に最大の外国直接投資国であることなどを挙げ、両国経済が極めて強く結びついていると指摘した。
ブリンケン長官と岩屋外相の会談で意見が交わされた日本製鉄によるUSスチールの買収計画に関しては、ジョー・バイデン大統領が1月3日に取引を禁止する行政命令を発表した(2024年1月7日記事参照)。ホワイトハウスのカリーヌ・ジャンピエール報道官とジョン・カービー国家安全保障会議(NSC)戦略広報調整官はそれぞれ1月3日の記者会見で、取引禁止命令に関する記者の質問に対し、「日本についての(米国の安全保障上の懸念があるという)話ではない」「USスチールが今後も米国が所有し、米国で操業を続ける必要があるという話だ」などと述べ、日米経済関係への影響を否定している。同様に、米国の首都ワシントンのシンクタンクは、取引禁止命令に関して、企業の対米投資意欲を減退させる可能性を指摘しつつ、例外的事案として日本企業の対米投資全体が歓迎されないわけではないと指摘している(2025年1月7日記事参照)。
他方で、日本経済団体連合会(経団連)は1月6日に取引禁止命令に関し、「日本は、米国の最大の投資国かつ同盟国であるにもかかわらず、経済安全保障を理由にこうした決定がなされたことに対し、今後の対米投資、さらには日米経済関係への影響が憂慮される」などとするコメントを発表しており、日本の産業界からは懸念の声が上がっている。
(葛西泰介)
(米国、日本)
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