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米雇用機会均等委員会、職場のハラスメント防止に関するガイダンスを約25年ぶりに改定(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月27日 0時25分

米国の雇用機会均等委員会(EEOC)は4月29日、従業員が職場で安心して働けて、雇用主が尊重される職場づくりをできるよう支援することを目的とした「職場におけるハラスメント防止に関するガイダンス」の最終版を発表した。1987~1999年に発行された5つのガイダンスを更新・統合した上で、2023年秋に募集したパブリックコメントの内容を反映させたもの。ガイダンスは、約25年ぶりの改定となる。

米国では、従業員は連邦雇用差別禁止法などによって人種、肌の色、宗教、性別(妊娠・出産、性的指向、性自認などを含む)、国籍、障害、年齢(40歳以上)、遺伝情報に起因するハラスメントから保護されており、今回発表されたガイダンスは、ハラスメント被害に対するこれら法律の法的基準や雇用主の責任についてまとめている。EEOCは、最後の1987~1999年ガイダンス発表以降、最高裁による「ボストック対クレイトン・カウンティ」判決後(注)の法律改正のほか、超党派の「職場におけるハラスメントに関するセレクト・タスク・フォース」の議長の調査結果と推奨内容が発表されたことなどから、これらを反映させたほか、オンラインでのハラスメントなど新しい問題に関する内容も加えたとしている。

例えば、オンラインでのハラスメントについては、グループチャットで入力された年齢差別的または能力差別的なコメントや、ビデオ会議参加時に人種差別的なバックグラウンド画像が見えることなどが含まれる、と説明している。他には、高齢の従業員に対して「黄金期」を満喫するために退職を検討してはどうか、と勧める発言や、小さい子供がいる女性の従業員に対して、子供と時間を過ごすためにパートに切り替えるべきだ、という発言もハラスメントに含まれるとしている。ガイダンスでは、これらを含め77の例が記されており、オンラインで全内容を確認できる。またガイダンスは、従業員が同僚や上司からだけでなく、顧客、請負業者、その他の第三者からも違法なハラスメントを受ける可能性があることも説明している。

EEOCは、1964年公民権法第7編、米国障がい者法(ADA)、遺伝情報非差別法(GINA)、妊産婦労働者公正法(PWFA)に違反する、従業員15人以上の民間企業を提訴する権限を有しており、法律に違反した企業を提訴し、和解内容を随時公表している。最近では2024年6月21日に、オハイオ州の自動車運送・物流会社のウィーラー・トラッキングが、ユダヤ教の安息日として土曜日を休みとする従業員に対し、宗教上の配慮をせず人種・宗教差別をしたとして、和解金6万5,000ドルの支払いと、救済措置を取ることで和解が成立したと発表した。

6月14日には、コロラド州のファクター・ワン・ソース・ファーマシーが従業員の障害や遺伝情報を照会し、同社の薬局サービスを利用するよう従業員に圧力をかけたとしてEEOCが提訴した件で、和解金51万5,000ドルの支払いと救済措置を取ることで和解が成立したと発表している。

(注)米国最高裁判所は2020年6月15日、1964年公民権法第7編において差別を禁止している対象の従業員には、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー(LGBT)も含まれていると判断し、雇用主が従業員を、性的指向を理由に解雇処分することなどを禁止した。

(吉田奈津絵)

(米国)

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