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バイデン米大統領、米中首脳会談でAIのリスク対処の重要性を確認、新政権への移行見据え(米国、中国、ペルー)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月19日 13時0分

米国のジョー・バイデン大統領は11月16日、中国の習近平国家主席との首脳会談を、APEC首脳会談に合わせペルーのリマで行った(注1)。両首脳による対面での会談は3回目で、前回は2023年のAPEC首脳会談に合わせて米国サンフランシスコで行われた(2023年11月16日記事参照、注2)。米国では2025年1月からドナルド・トランプ前大統領が政権を担うことから(2024年11月7日記事参照)、バイデン大統領にとって今回が最後の米中首脳会談になる見込みだ。

バイデン政権の発表によると、両首脳は会談で、人工知能(AI)のリスクへの対処、安全性の向上、国際協力の促進を確認した上で、核兵器使用の決断は人間が行う必要性があることを確認した。加えて、軍事分野におけるAI技術は、慎重かつ責任を持って開発する必要性があることを強調した。

またバイデン大統領は、中国の不公平な通商政策について懸念を表明し、米国の先端技術が、米国やそのパートナー国の国家安全保障を損なうために利用されることを防ぐため、貿易や投資を不当に制限することなく、必要な措置を継続的に講じていくと述べた。例えば、バイデン政権は、2024年9月27日から安全保障上重要な品目に対して、対中追加関税の引き上げを決定している(2024年9月17日記事参照)。バイデン大統領はまた、中国による、ウクライナに侵攻を続けるロシアの防衛産業基盤への継続的な支援についても深い懸念を表明した。バイデン政権は近年、対ロシア制裁の迂回を支援する事業体などへの制裁を積極的に行っている(注3)。

そのほか、両首脳は両国関係を、競争しながらも責任を持って管理すること、紛争を防止すること、オープンなコミュニケーションラインを維持すること、共通の関心分野において協力すること、などの重要性を強調した。

今回の会談について、政治専門紙「ポリティコ」(11月16日)は、「バイデン氏は、トランプ氏がホワイトハウスを引き継ぐ前に、米中関係を緊急事態に耐えられるものにする方法を模索している。そして、今回の意義ある会談は、両首脳がバイデン氏の残された数週間の任期を最大限に活用しようとしていることを示すものだった」と評した。

2025年からは、中国に対して強硬な姿勢を鮮明にしているトランプ氏が政権を担い(注4)、連邦議会の上下両院ともに共和党が多数党となる(2024年11月14日記事参照)。2024年11月14日に提出された中国との恒久的正常貿易関係(PNTR)を撤回する法案が、新議会でも再度提出されれば可決される可能性があるとの指摘もある(2024年11月18日記事参照)。トランプ新政権下での米中関係の行方が注目される。

(注1)開催地ペルーでの反応は、2024年11月18日記事参照

(注2)両首脳による電話会談は、直近では2024年4月に行われた(2024年4月3日記事参照)。

(注3)直近の省庁横断的な大規模な対ロシア制裁は、2024年10月31日記事(金融制裁)2024年10月31日記事(輸出管理)参照。

(注4)共和党の政策綱領を基にしたトランプ氏の政策は、2024年8月9日付地域・分析レポートおよび2024年9月6日付地域・分析レポート参照。

(赤平大寿)

(米国、中国、ペルー)

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