香港再開発連合、香港の地域知的財産権取引センターとしての発展戦略に関する報告書を公表(香港)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月18日 1時0分
香港再開発連合(注1)は6月6日、香港再開発連盟のウェブサイトにおいて、「香港の地域知的財産権取引センターとしての発展戦略」報告書(注2)を公表した。
なお、本報告書公表以前、5月20日に開催された香港の「四大発展」戦略に関する記者会見で、「国際貿易センター」「中外文化芸術交流センター」「地域知的財産権取引センター(注3)」「国際航空ハブ」、これら香港の4つの役割・機能について研究し、それぞれ報告書を作成した旨を発表していた。
これら4つの報告書のうち、「香港の地域知的財産権取引センターとしての発展戦略」報告書の概要は次のとおり。
本報告書は、「背景と現状」「機会と課題」および「戦略」の三章で構成されており、「戦略」において下記(1)~(3)の段階的な発展が提言されている。
(1)発展戦略の試行期間中は、香港の既存資源を活用し、知的財産権取引(以下、知財取引)サービスのパイロットプロジェクトを実施する。具体的な措置として、本土と海外の知財取引市場を双方向に接続するためのバイオ医薬品(特に抗がん剤)に関する専利取引・サービスプラットフォームの確立や、研究開発活動や知財仲介事業を対象とした税制上の優遇措置などが挙げられた。
(2)短期的には、試行期間の経験から学び、全ての関係者の利点を組み合わせて、より包括的に知財取引の種類や必要なサービスを補うようプラットフォーム提携を行う。具体的な措置として、専利取引・総合サービスプラットフォーム構築による知財取引エコシステムの確立や、取引プロセスにおける交渉、評価(銀行や保険会社など)、法的サービスの支援と利害関係者(買い手、売り手)および仲介者のニーズを統合した完全な知財取引チェーンの構築、知財取引に関する仲裁・調停業務の展開、人材育成などが挙げられた。
(3)中長期的には、一定の貿易規模を基礎として引き続き取引範囲の拡大を図り、知財取引サービスエコシステムを改善し、国家全体の発展に積極的な統合を進め、世界をリードする地域知財取引センターとなる。具体的な措置として、知財取引対象カテゴリーの一層の拡大や、パテントプール(注4)の設置、本土の国有企業や大学の「休眠特許」(注5)のライセンスに関する試験区設置を中央政府に申請などが挙げられた。
(注1)各界から集まった1,500人の発起人によって2020年5月に設立された組織。その目的は、「一国二制度」を堅持し、香港が困難を克服し、輝かしい未来に向けた再出発を支援すること。
(注2)他の報告書も含め、香港再開発連合のウェブサイトに掲載されている。
(注3)中国国務院が2021年10月に公表した「『第14次5カ年(2021~2025年)規画』国家知的財産権保護および運用規画」では、香港の知的財産取引センターとしての発展を支持する方針が示されている。
(注4)2またはそれ以上の特許保有者間における、1またはそれ以上の特許を、相互にまたは第三者に対してライセンスする合意のこと。
(注5)実施されていない有効な特許権のこと。
(島田英昭)
(香港)
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