消費財買い替え政策の実施状況を説明、上海市は再生資源のリサイクルシステム整備を強化（中国）

中国の商務部、国家発展改革委員会など14部門が4月12日に発表した「消費財の買い替えを推進するための行動プラン」（2024年4月28日記事参照）の実施状況について、商務部は6月25日、記者会見で説明した。同会見では、自動車の買い替えに関し、4月24日の「自動車買い替え補助金の実施細則」発表後、6月25日正午までに受領した同補助金申請の件数が約11万3,000件に達しており、申請件数は増加傾向と紹介された。

また、家電の買い替えやキッチン・浴室の改装については、これまでに29の地方政府において補助金措置が実施されていると言及。さらに、買い替えを促進すべく、使用済み家電・家具などの再生資源の回収システムの整備に向けて財政部とともに支援する方針などが言及された。

うち、再生資源の回収・リサイクルに関し、上海市では、中国・上海市商務委員会および同市政府3部門が6月4日、同市の再生資源（資源ごみ）の回収およびリサイクルシステムの構築に向けた特別運動を実施すると発表。同運動を通して、2027年までに、再生資源の回収ネットワークが同市全ての社区（コミュニティー）をカバーできるよう、市内に再生資源の有償回収拠点（注1）800カ所、同回収拠点で集めた再生資源を再整理して仕分け・秤量（ひょうりょう）・運送などを行う集積所50カ所を設置する。また、再生資源のうち主要な品目の回収率を85％以上に引き上げるとの目標を掲げた。主な取り組みは次のとおり。

（1）重点品目の回収・リサイクルチェーンの整備

使用済み家電では、家電の生産・販売企業が配送、取り付け、メンテナンスなどのチャンネルを活用してリサイクルシステムを構築し、家電の買い替え時に使用済み家電を回収する物流システム・新たなモデルの発展を推進することを支援する。
使用済み電子製品・廃車などでは、循環経済発展専用資金（注2）の活用により、資源の再利用度を高める。
廃プラスチック、廃金属、古紙、廃繊維、廃木材などは、回収にかかる補助金政策を整備し、省・市をまたいだ回収・リサイクルチェーンの円滑化に取り組む。
電動自転車については、回収方法の利便性向上を推進し、使用済みバッテリーは分けて回収する。

（2）グリーン仕分けセンターの建設

使用済み電子製品などの分野では、回収・リサイクル企業によるグリーン仕分けセンター（注3）の建設を支援する。
メーカーと再生資源回収・加工企業の協力により、鉄くず、金属くず、古紙などの廃棄物について一体型のグリーン仕分けおよび加工、流通センターを建設すること、および使用済み動力電池の回収センターを建設することを奨励する。

（3）回収主体の多元化、大規模化の促進

流通企業が有するチャネルを生かし、Eコマースプラットフォーム企業などが回収、仕分け、解体、リサイクルなどまでサービスチェーンを拡大することを奨励する。
回収・リサイクル企業によるチェーン展開や、他社との協力・協業などによる組織の拡大、リサイクル品回収におけるフランチャイズモデルの実施検討を奨励する。

（注1）段ボール類、新聞、ペットボトルなどの再生資源を持ち込むと、市場価格で有償回収される。

（注2）循環経済発展専用資金とは、循環経済の実現に向けた重点プログラムの実施や、関連技術・製品の普及、インフラ設備の建設などを使途とする中央政府予算による専用資金を指す。

（注3）リサイクルシステムによって集められた再生資源を、仕分け、解体、剪断（せんだん）、破砕、洗浄、梱包（こんぽう）、一時保管などを施す場所。

（龐婷婷）

（中国）