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米アマゾン、スペインのAI・クラウド基盤強化に157億ユーロ投資へ(スペイン、米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月3日 0時50分

米国アマゾンのクラウド事業部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は5月22日、北東部アラゴン州にあるスペインのクラウドサービス拠点に、2033年までに総額157億ユーロを投資すると発表した。スペインへのデジタル投資では過去最大。スペインのGDPへの経済効果は216億ユーロで、1万7,500人の新規雇用を創出し、大規模な人材育成事業も行う。AWSは2022年11月から同州に3カ所のデータセンターを稼働し、10年間で25億ユーロの投資を発表していたが、生成AI(人工知能)とクラウドコンピューティングの急速な普及によるインフラ需要の拡大で、今回の投資額は前回の6倍以上となった。

再エネ電力、需要地への近さ、広大な土地―南欧データハブとして注目

スペインには計画中のものも含めて約80カ所のデータセンターがあり、うち半数は首都マドリードの近郊に立地している(2024年1月29日付「エル・エスパニョール」紙)。大部分はサーバー設置スペースを提供するコロケーション型(注)の施設だ。一方で、近年は大手パブリッククラウド事業者などによるハイパースケール施設設置が進んでいる。

こうした大規模施設は、膨大なデータ処理やストレージのために広大な施設用地を必要とし、消費電力も桁違いだ。アラゴン州は豊富な用地や再生エネルギー(再エネ)電力に加え、マドリードとバルセロナの中間地点という立地の良さがある。AWSのほか、米マイクロソフトも2月に21億ドルを投資して大規模施設を設置する計画を発表。5月23日には中国の車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)傘下の再エネ開発会社が地場の同業とともに、10億ユーロ超を投じて最大1ギガワット(GW)の太陽光、風力、蓄電を統合したハイブリッド型の産業向け自家発電インフラを共同開発することで合意するなど、再エネ投資が盛り上がっている。

スペイン政府は5月14日に「国家AI戦略」を改定し、持続可能なデータセンター開発を推進するため、大型施設に再エネ電力や水資源の利用情報の開示を求める。世界最大の再エネ購入者のアマゾンは、全世界での電力供給契約件数の1割強に当たる79件、発電容量ベースで計2.9GWをスペインに集中させているが、既存のデータセンター同様、追加投資分についても、消費電力の100%を再エネで賄う。スペインは長期的な水不足で、冷却水消費への対応が課題だが、上水道の漏水検知・補修プロジェクトなどを通じて地域に水資源を還元する。

(注)コロケーションとは、顧客のサーバーや回線接続装置などを設備の整った自社設備に設置するサービス。

(伊藤裕規子)

(スペイン、米国)

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