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イリノイ州は「米国産業の成長の中心地」、知事が日本との経済交流の拡大を歓迎(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月8日 13時50分

ジェトロは10月7日、米国イリノイ州のビジネス・投資環境を紹介するセミナーを東京で開催した。J.B.プリツカー州知事(民主党)が基調講演を行い、同州の経済動向や日本企業にとってのビジネス機会をアピールした。会場には日本企業関係者ら100人超が詰めかけた。ジェトロからは片岡進副理事長が開会あいさつを行い、米国およびイリノイ州の魅力とともにプリツカー知事の実績を紹介した。

プリツカー知事は、イリノイ州がG20諸国に匹敵する経済規模を持つ「米国産業の成長の中心地」だと力説した。陸路、空路、水路で発達した交通網を擁し、北米における物流のハブになっていると紹介した。産業面では、全米一の生産量を誇る大豆に代表される農業のほか、運輸、製造業、金融など多様な経済を持つと話した。シカゴ大学など先進的な研究機関が集まり、量子技術や人工知能(AI)の研究者を引きつけていることも強みだとした。日本との関係では、350社以上の日本企業が同州に拠点を構え、同州にとって日本は世界2位の貿易相手国だと指摘。「成長の余地はまだ大いにある」と述べ、日本との経済交流のさらなる拡大を歓迎した。

写真 基調講演するイリノイ州のプリツカー知事(ジェトロ撮影)

基調講演するイリノイ州のプリツカー知事(ジェトロ撮影)

ジェトロ・シカゴ事務所の中川崇所長は、米国中西部における日系企業の集積や、充実した日系サービスプロバイダーの存在を挙げ、イリノイ州には日本企業のビジネスを支援する環境が整っていると説明した(注)。同州のイノベーション・エコシステムについて、シカゴ最大のインキュベーターである「1871」を含む支援機関や層の厚い大学群、理系人材に支えられ、シカゴから20社以上のユニコーンが誕生するなど、近年、急成長を遂げている点にも言及した。

在イリノイ州の日本企業として講演したアイシン・ホールディングス・オブ・アメリカのビル・コックス副社長は、自動車部品工場の立地先に同州を選んだ理由として、主要な交通ハブへのアクセスを挙げた。また、コミュニティー・カレッジが企業と連携して研修プログラムを提供しており、製造業向けに多くの高度人材が輩出されていると評価した。

イリノイ州に本社を置き、不動産開発を手掛けるリレイテッド・ミッドウエスト(Related Midwest)のカート・ベイリー社長は、シカゴ市南部で官民が共同開発する「イリノイ量子マイクロエレクトロニクスパーク(IQMP)」の展望を語った。IQMPは、米国初の商用規模の量子コンピューティングキャンパスだ(2024年8月1日記事参照)。ベイリー氏も同州を含む中西部の特長として、高等教育機関の集積に触れた。

ジェトロは10月8日、日本企業とイリノイ州企業の協業連携の促進に向けたイベントも開催した。量子技術とアグリテック分野の同州企業などがピッチを行ったほか、同州の大学や主要産業の企業を含めたネットワーキングの機会を設けた。

(注)ジェトロでは、米国への進出や拠点拡大時に、州政府などと連携した工場設立や研究開発拠点の設立の立地選定支援サービスを提供している。

(甲斐野裕之)

(米国)

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