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タイ中銀の7月経済金融報告、財輸出や観光収入が増加するも消費者信頼感は低下(タイ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月4日 13時25分

タイ中央銀行(BOT)は8月30日、7月の月例経済金融報告を発表した。7月のタイ経済は、財輸出および観光収入が増加したことにより、前月から改善した。民間投資も前月から増加し、民間消費も堅調だった。他方、経済成長の鈍化に対する懸念もあり、消費者および企業のマインドは引き続き低下した。

工業生産指数は、前年同月比1.8%増、前月比(注)でも2.5%増加した。前月比でみると、複数の業種で増加しており、特に自動車で7.1%増と大きく拡大した。中東情勢が輸出に与える影響を懸念し、生産と輸出を急いだことが要因としている。その他、ゴム製品の輸出増加を受けてゴム・プラスチックの生産が伸びた(5.7%増)。しかし、石油生産については前月の好調な伸びから一転、減少に転じた(0.5%減)。

需要面については、民間消費指数が前年同月比0.2%増、前月比0.3%増となった。サービス支出は前年比で5.7%増と拡大し、前月比も0.7%増となった。また、自動車を含む耐久財は前年比7.0%減と引き続きマイナスとなるも、前月比では4.2%増とプラスに転じた。また、消費者信頼感指数(CCI)は、エネルギー価格の上昇に伴う生活費の上昇、経済成長の鈍化、政治的不確実性への懸念から引き続き低下した。民間投資は前年同月比3.4%増、前月比6.0%増とともに増加した。

財輸出(金を除く)は、前年同月比11.0%増と大きく増加、前月比でも2.8%増と拡大した。前出のとおり、中東情勢の悪化による配送遅延への予防措置として出荷を急いだことが一因。特に、(1)マレーシア向け通信機器、マレーシアおよび欧州向け集積回路、台湾・香港向けコンピュータの出荷増により電子製品の輸出が増加したこと、(2)インド向け植物油、中国向けゴムの輸出増により農産品の輸出が増加したこと、(3)インドにおける化学塗料の生産能力拡大により化学製品および石油化学製品の需要が増加したこと、が挙げられる。他方、オーストラリア、フィリピン、中東向けのピックアップトラックなど、一部の製品の輸出は減少した。

6月の外国人観光客数は310万3,400人となり、前月比0.4%減となった。特にマレーシア、中国、欧州(ロシアを除く)からの観光客は前期の好調な伸びから減少に転じた。結果、季節調整後の観光収入も前月より減少した。

(注)前月比は季節調整済みの数値。

(藤田豊)

(タイ)

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