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英政府、食料安全保障に関する報告書を公表、食料インフレの影響は深刻(英国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月12日 16時10分

英国政府は12月11日、英国の食料安全保障に関する報告書を公表した。同報告書は2020年農業法において3年に1度、議会に提出することが義務付けられており、2021年に続いて2回目の報告書となる。

2021年報告書では、新型コロナ禍の影響による食品サプライチェーンの混乱と政府の対応などについてケーススタディが示されたが、2024年報告書では、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵略などが食品サプライチェーンに及ぼした影響に関する分析が多く示された。特に、2022年2月以降のロシア軍による黒海の利用制限および2023年11月以降の紅海におけるフーシ派の船舶攻撃をケーススタディとして取り上げ、海上貿易のチョークポイント(注)が世界の食料安全保障に与える影響に注視する必要性を指摘した。

また、気候変動の影響について、2021年報告書のように単一の指標での分析ではなく、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候変動シナリオを用いたシミュレーションを基に統合的に分析し、温暖化による異常気象の可能性が高まることで、英国の食料安全保障にとって重大なリスクとなることを指摘した。

地政学的事象と気候事象の影響により、エネルギーや肥料などの食料生産への投入物や食料自体の価格が上昇したことで、英国の食料インフレは2023年に45年ぶりの高水準となった。2021年1月から2024年8月までの間に英国の食料価格は31.6%上昇しており、食料不安を感じる世帯の割合(注2)は、2019年度(2019年4月~2020年3月)から2022年度にかけて8%から10%に増加した。

報告書では、英国の食料安全保障について、「食は国民生活に欠かせないものであり、英国国民が何をどのように食べるかは、国民の健康、福祉、生産性および幸福に影響する。英国が食料にアクセスし、健康的な食事をとれるかどうかを監視することは非常に重要」と述べている。

(注1)物資輸送路として使われている狭い海峡。

(注2)英国労働・年金省が毎年実施する「世帯資源調査」で、インタビュー直前の30日間の当該世帯の食料入手状況に関する設問の回答を基に、世帯の食料安全保障状況を4段階に分類したうち「低い」と「非常に低い」の合計。

(林伸光)

(英国)

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