米議会上院、ベッセント氏の財務長官就任を承認(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月29日 10時50分
米国連邦議会上院は1月27日、スコット・ベッセント氏を財務長官に承認した。賛成68票、反対29票、棄権3票で、民主党議員も賛成票を投じた。ベッセント氏は、ビジネス界を安心させる、「伝統的(conventional)」で「安全(safe)」かつ「現実的(pragmatic)」な人物で、トランプ政権の閣僚候補の中では穏健派と評されている。ドナルド・トランプ大統領は同氏を、「米国が世界をリードする経済大国、イノベーションと起業家精神の中心、投資の目的地としての地位を強化しながら、常に、そして疑う余地なく、ドルを世界の準備通貨として維持するという、新たな黄金時代の到来を支援する」として、財務長官に指名していた(2024年11月26日記事参照)。
上院財政委員会のマイク・クレイポー委員長(共和党、アイダホ州)は同日、声明を発表し、民主党議員15人が賛成票を投じたことから、「広範な超党派の支持により、ベッセント氏の指名が承認された」とし、2025年末に多くが期限を迎える減税措置の延長に期待を示した。下院歳入委員会のジェイソン・スミス委員長(共和党、ミズーリ州)も同日、米国民全員が経済成長の恩恵を享受するには、「トランプ減税をできるだけ早く拡大・構築することだ」とする声明を発表した。ベッセント氏は政策上の優先事項に、減税措置の恒久化などトランプ大統領の減税公約の実現を掲げており、承認を受けるための公聴会では、減税措置が延長されなければ米国は「経済的な大惨事」に直面すると述べていた(政治専門紙「ポリティコ」1月27日)。
関税政策についてベッセント氏は、全ての国からの輸入品に一律2.5%の関税を課し、その後、毎月2.5%ずつ引き上げることを提案している、と報じられている。これは、企業が関税率の引き上げに対応する時間を確保し、各国が米国と交渉する機会を与えるためだという(「フィナンシャル・タイムズ」紙電子版1月27日)。ただし、財務長官は、関税を課す直接的な権限を持つわけではないことから、関税政策への影響力は限定的とする見方もある。
(赤平大寿)
(米国)
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