世界水フォーラムが閉幕、日系企業の水関連ビジネスをアピール(インドネシア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月5日 0時30分
インドネシアのバリで5月18日から開催されていた「第10回世界水フォーラム」(注)が25日に閉幕を迎えた(2024年5月24日世界水フォーラムウェブサイト)。
開会式でジョコ・ウィドド大統領は、2050年までに世界の食料の80%を生産する5億人の小規模農家が、干ばつの影響を最も受けることが予測されていると述べた。その上で、同フォーラムのテーマは「繁栄を共有するための水」とし、その実現のための3つの基本原則が「競争回避と公平性の奨励、包括的協力の推進、平和と繁栄の促進」だと強調した(2024年5月20日付インドネシア大統領府)。
また、自身の大統領任期が2024年10月で終了することに触れ、開会式に同席したプラボウォ・スビアント国防相を次期大統領と紹介した。
同フォーラムで採択された閣僚宣言には、清潔な水の確保と衛生の推進に関する113件のプロジェクト(計94億ドル規模)の具体的な成果(見込みを含む)や行動計画の概要が盛り込まれた。日本が関連するプロジェクトとしては、2022年4月の第4回アジア・太平洋水サミットで発表された「熊本水イニシアティブ」や、国際協力機構(JICA)によるインドネシアでの灌漑分野の技術支援プロジェクトのほか、宇宙航空研究開発機構(JAXA)やアジア開発銀行(ADB)などが取り組む、AI(人工知能)処理された衛星画像を活用した開発途上国における水資源回復力の強化プロジェクトが盛り込まれた。
ジェトロは5月17日、「在インドネシア日系企業水処理ビジネスカタログ」を発行し、同フォーラムの併設展示エリアで、NPO法人日本水フォーラムが主催するジャパンパビリオンの来場者に配布した。同カタログは、インドネシアの水に関する課題解決に資する日系企業の製品やサービスを紹介している。
自動車各社がバッテリー式電気自動車(BEV)を提供
同フォーラムでは、自動車各社がBEVをイベント運営用に提供する動きが目立った。トヨタ自動車の現地合弁販売会社であるトヨタ・アストラ・モーターは、閣僚などの移動車両として自社のBEV「bZ4X」を130台提供した。また、現代自動車の現地法人であるヒュンダイ・モーター・インドネシアは、同社のBEV「アイオニック5」50台、「アイオニック6」36台の計86台を提供したと発表した。その他、ドイツのBMWが自社2モデルを計51台提供し、中国の五菱(ウーリン)は自社3モデルを計150台提供した。
(注)世界各国の政府、国際機関、学識者、企業およびNGOにより、包括的な水のシンクタンクとして1996年に設立された「世界水会議(WWC)」が、3年に1回開催するフォーラム。地球規模で深刻化が懸念される水問題に対しての情報提供や政策提言を行う場。
(大滝泰史)
(インドネシア)
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