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エルドアン大統領、ハイテク投資奨励プログラム「HIT-30」発表(トルコ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月2日 1時10分

トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は7月26日、ハイテクノロジー産業誘致に向けた投資奨励プログラム、「HIT-30」を発表した。同プログラムは半導体やモビリティー、グリーンエネルギー、先進製造技術を中核とする30分野への投資に、税制優遇措置や助成金支援など総額300億ドル相当のインセンティブパッケージを導入する。

大統領はモビリティーに関して、トルコでの電気自動車(EV)の年間生産台数を少なくとも100万台に引き上げるため、50億ドル規模のインセンティブパッケージを導入する。同スキームでは、生産能力15万台以上、国産化率51%以上などの条件を満たすバッテリー式EV(BEV)やプラグインハイブリット車(PHEV)投資への支援を提供する。また、バッテリー生産でも、総額最大45億ドルの支援を受けて、2030年までに80ギガワット時(GWh)の生産能力を確立することを目指している。

大統領は、世界最大のEVメーカーの中国のBYDが7月初旬にトルコ西部のマニサ県に10億ドル規模の生産工場の建設を約束した(2024年7月16日記事参照)ことを例に挙げ、「世界の大手自動車メーカーがトルコのEV部門に投資する機会を創出した」と述べ、同部門の将来性を強調した。

また、半導体チップ工場誘致に向け、50億ドルのインセンティブパッケージを実施するとし、少なくとも1件の工場設立を目指すことを明らかにした。チップバリューチェーンへの投資や回線幅65ナノメートル以上の技術などに対する投資には、最大30%の出資、同10%の補助金と同80%の税制優遇措置を提供する。

グリーンエネルギーに関して、大統領は「風力エネルギーの重要部品と洋上タービンの製造を支援し、国内の風力エネルギーブランド構築を目指している」と述べ、最大15ギガワット(GW)の容量を持つ太陽発電施設に25億ドル、重要な風力エネルギー部品の製造に17億ドルを割り当てた。

先進製造技術については、支援総額を10億ドルとし、研究開発分野で世界の上位1,000社に位置する企業がトルコに研究開発センターを新設する場合、人件費の半分を5年間負担する。

エルドアン大統領は、HIT-30によって「少なくとも200億ドルの民間投資をわが国にもたらすことを目標としており、ハイテク分野でトルコの発展に大きく貢献する」と強調した。また、メフメット・ファーティヒ・カジュル産業技術相は、ハイテク輸出を2028年までに現在の91億ドルから195億ドルに引き上げることを目指していると述べた。

(中島敏博)

(トルコ)

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