豊田通商、エジプトで風力発電を拡張、アフリカ最大の916.5MWに(エジプト、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月26日 1時45分
豊田通商はグループ会社のユーラスエナジーホールディングス、フランスの独立系発電事業者エンジー、エジプトの大手ゼネコン、オラスコム・コンストラクションの4社で2023年3月からエジプトで建設中の設備容量504メガワット(MW)のレッド・シー・ウインド・エナジー(Red Sea Wind Energy)について、150MWを増設して654MWの風力発電所に拡張すると11月19日に発表した。
拡張部分は1基当たり7.5MWの風力発電機を20基設置する。拡張後は設備容量でアフリカ最大の風力発電所となる。増設分も含め2025年8月の商業運転開始を予定している。
同社は既にこの地区で2019年10月から設備容量262.5MWのラス・ガレブ風力発電所を商業運転開始しており、レッド・シー・ウインド・エナジーは、同社がアフリカで建設・運営する2例目で(2023年3月9日記事参照)、両発電所完成後は合計916.5MWとなる。1キロワット時(kWh)当たりの固定価格買取制度(FIT)はドル建てで3セント程度となっている。
この拡張部分の総事業費は約1億3,000万ドルで、国際協力銀行(JBIC)、欧州復興開発銀行(EBRD)、三井住友銀行、農林中央金庫、ソシエテ・ジェネラル銀行が約1億600万ドルを協調融資、うちJBICが5,100万ドルを限度とするプロジェクトファイナンスによる貸し付けを行う(JBICプレスリリース)。また、この融資の民間金融機関の融資部分に日本貿易保険(NEXI)が保険を付保する(NEXIプレスリリース)。
レッド・シー・ウインド・エナジーの八十良太最高財務責任者(CFO)は「2019年からの実績が評価されて本件の拡張につながった。今後もエジプト政府の期待に応えたい」と語った。
国際エネルギー機関(IEA)によると、2022年のエジプトの総発電量は20万8,739ギガワット時(GWh)で、2000年時点から2.7倍になった。2022年の総発電量のうち天然ガスが79.2%、石油8.6%、水力7.0%、風力2.8%、太陽光2.4%だった。
2023年8月に電力・再生可能エネルギー省がエジプト日本商工会で講演した資料によると、国内で完工している再生可能エネルギーの設備容量は、水力2,832MW、風力1,625MWで、世界第4位、中東アフリカでは最大の太陽光発電所のベンバン発電所が1,465MWとなっている。
政府の「統合的持続可能エネルギー戦略(ISES)2035」では、2035年までに発電容量に占める再生可能エネルギー発電の比率を42%とし、14.4%を風力で賄う計画となっている。2022年にエジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)後、2030年までと達成時期が前倒しされた。
11月11日からアゼルバイジャンの首都バクーで開催されたCOP29(2024年11月12日記事参照)に出席したムスタファ・マドブーリー首相は、2030年までに発電容量に占める再生可能エネルギー発電の比率を42%にまで高めると強調した一方で、国際的な財政的、技術的支援が不十分なため、エネルギーインフラを十分に整備することができず、国の排出量削減目標(NDC)達成が危ういと述べた。地域紛争や想定外の気候現象が連続する中、エジプトを含むアフリカ諸国が気候変動対策の約束を果たす上で、先進国が気候変動資金に関して主導権を握らなければならないと強調した。
COP29に関する情報はジェトロのビジネス短信特集「COP29に係る各国の反応」も参照。
(西澤成世)
(エジプト、日本)
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