医療分野の規制緩和、一部地域で外資独資での病院設立が可能に(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月11日 15時40分
中国の商務部と国家衛生健康委員会、国家薬品監督管理局は9月7日、「医療分野の対外開放拡大の試行に関する通知」(商資函[2024]568号)を発表した。外資導入によって医療分野の質の高い発展を促進し、国民の医療・健康ニーズを満たすため、バイオ技術分野の開発や応用と、外国資本による独資での病院設立について、一部の地域で規制緩和を試行するとした。
通知によると、9月7日から中国(北京)自由貿易試験区、中国(上海)自由貿易試験区、中国(広東)自由貿易試験区、海南自由貿易港で、外資企業による製品の販売登録・生産に向けた人体の幹細胞、遺伝子診断・治療技術の開発と応用を認めるとした。販売登録と生産が承認された製品は全国範囲で使用が可能となる。
また、北京市、天津市、上海市、江蘇省南京市と蘇州市、福建省福州市、広東省広州市と深セン市、海南島全域で、外資100%出資の病院を設立することを認めるとした。ただし、中国医学の病院設立と公立病院の買収は認めず、設立に関する具体的な条件、要求、手続きなどについては別途通知するとした。
中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)では、電気通信、インターネット、教育、文化、医療などの分野で開放拡大の推進が言及されていた(注1)。また、国務院が8月3日に発表した20項目のサービス消費の促進策(2024年8月14日記事参照)でも、電気通信、医療、健康などの分野の開放拡大への取り組みが盛り込まれている。
商務部報道官は今回の規制緩和について、中国が自ら対外開放を通じて各国企業に新たな発展の機会を提供する実践的な行動とした上で、今後、商務部は政府関連部門と連携して条件を満たす外資企業の参入を支援するとした。
商務部国際貿易経済合作研究院の白明研究員は、高齢化の進展と消費のグレードアップに伴い、健康・介護分野の各種ニーズがますます高まっており、医療システムはこうした需要に対応しなければならないと指摘した上で、内資系病院と外資系病院はそれぞれの強みを持っており、互いに補完し合うことができるほか、外資企業の参入はナマズ効果(注2)をもたらし、実力がある病院はさらに発展できるとコメントした(「紅星新聞」9月10日)。
(注1)9月6日に発表された「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2024年版)」では、製造業の参入規制が完全に撤廃された。なお、人体の幹細胞、遺伝子診断・治療技術の開発と応用への投資を禁止することや、医療機関は合弁に限るなどの条件が盛り込まれている(2024年9月10日記事参照)。
(注2)異質な存在が加わることで、グループや全体の活力が向上することを例えた表現。
(張敏)
(中国)
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