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欧州委員長、トランプ氏に祝意表明、注視される気候変動対策とエネルギー政策への影響(EU、米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月12日 13時20分

米国大統領選挙の結果を受け、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は11月6日、勝利したドナルド・トランプ前米大統領への祝意とともに、再び大西洋横断の課題にともに取り組んでいくとの声明を発表した。ハンガリーで開催された非公式の欧州理事会(EU首脳会議)後の8日の記者会見では、加盟国で選挙結果についても話し合い、米国はEUにとって最大の経済・貿易相手国であり、次期政権発足時から良好な関係を築く必要性を確認した。また、トランプ氏との電話で、ウクライナや防衛、貿易、エネルギーなどについて話したとした(プレスリリース)。

欧州理事会のシャルル・ミシェル常任議長は大西洋パートナーシップ強化の準備はできているとした。重要な要素として、(1)欧州の経済基盤強化のための貿易・投資関係の深化、(2)欧州の価値を順守したウクライナ、中東情勢への対応、(3)気候変動対策、デジタル分野での協業の3点を挙げた(プレスリリース)。

欧州議会のロベルタ・メツォラ議長は、選挙結果の影響を感じるとともに、誰が大統領となろうとも、欧州は目の前の課題に焦点を当てるとした。安全と防衛の確保、経済成長、競争力強化、負担軽減と規制緩和のために行動することが重要で、米国の結果を見て反応するのではなく、欧州が行動するのみとした(プレスリリース)。

欧州経済を専門とするブリュッセルのシンクタンク、ブリューゲルは、米大統領選の結果が気候変動対策とエネルギー政策に大きな影響を与える可能性を指摘した。米国が再びパリ協定から離脱した場合も、EUは、中国やインドなどの主要な温室効果ガス(GHG)排出国が米国に追随しないよう対話を行うことや、防衛費の増額が見込まれる中、気候変動対策への公共投資がトレードオフとならないよう対策を続けるべきとした。

また、トランプ氏は「エネルギー自給」から「エネルギー支配」を掲げ、天然ガスの増産で電力価格の半減を目指し、欧州とのエネルギー価格は拡大の一途となるが、欧州としては、グリーンへの移行があるのみだとした。クリーンテックへの投資・貿易に関し、米国のインフレ削減法(IRA)改正の可能性を指摘し、既存の投資は推進されるが、連邦政府の補助金に依拠した成熟度の低い技術への投資は抑制される可能性があるとした。米国の選挙結果は、EU加盟国が政治的分断を乗り越え、脱炭素化を追求する目標に向かって団結し、競争力を高め、EUの安全保障を強化する推進力とすべきものだとした。

(薮中愛子)

(EU、米国)

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