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2025年の一次産品価格は5年ぶりの低水準へ、世界銀行見通し(世界)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月5日 10時50分

添付資料PDFファイル(142 KB)

世界銀行は10月29日、「一次産品市場の見通し」〔プレスリリース(英語日本語)〕を発表した。2024年の一次産品価格指数(2010年=100)予測は前年比3.4%減の104.3で、前回予測値(2024年4月発表)から1.0ポイント減少した(2024年4月30日記事参照)。2025年は99.0(前年比5.1%減)と2020年以来5年ぶりに100を下回る見込み。2026年は97.3(前年比1.7%減)と、さらに低下する見通しとなった(添付資料表参照)。

一次産品価格指数の低下には、主にエネルギー価格の下落が起因した。エネルギー価格指数は2024年に100.8(前年比5.8%減)、2025年に94.5(前年比6.2%減)と軟化する。現在進行中の武力紛争が長期化や過熱しないことを前提とすると、ブレント原油価格は、2024年の年間平均は1バレル当たり80ドル、これが2025年には同73ドル、2026年には同72ドルまで下落する見通し。こうした中、2025年の世界の石油供給量は、需要量を日量平均で120万バレル上回り、歴史的な過剰供給となると予測される。供給過剰の要因として、中国において工業生産の伸びが鈍化するほか、電気自動車(EV)や液化天然ガス(LNG)車の販売増により需要が実質的に横ばいとなっていることや、OPECプラスに加盟していないブラジル、カナダ、ガイアナ、米国などでの原油増産計画が挙げられる。

世界の一次産品価格は、2024年から2026年にかけて10%程度の下落が見込まれる。前述のエネルギー価格のほか、食料価格も2024年は114.8、2025年は110.2とそれぞれ前年比で8.5%減、4.0%減と下降傾向を示す。他方、同期間の一次産品価格指数は、新型コロナ禍前の5年間(2015~2019年)の平均との比較では約30%高い。インダーミット・ギル世界銀行グループ・チーフ・エコノミスト兼上級副総裁は「食料価格上昇が先進国の2倍となっている途上国では食料価格高騰の痛みを和らげる効果はほとんど望めないだろう」と述べ、物価上昇、紛争、気候変動などの要因により、2024年は7億2,500万人以上が食料不安に陥っていると指摘した。

今後の見通しに対する短期的なリスクとしては、中東における紛争激化によるエネルギー価格の上昇が挙げられる。そのほかの上振れリスクとして、中国における景気刺激策に関連した予想を上回る経済成長、異常気象による潜在的な供給途絶などがある。前回見通しでは上振れが優勢としていたが、今回は石油の潤沢な供給による価格下落を反映し、下振れリスクに傾いていると指摘した。

(田中麻理)

(世界)

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