チリ初の国産水素バス完成、官民連携で実現(チリ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月18日 0時45分
チリ国内で設計、開発、製造された水素を燃料として走行するバスの完成披露式典が12月11日に開催された。式典にはガブリエル・ボリッチ大統領に加え、フアン・カルロス・ムニョス運輸通信相、アウロラ・ウィリアムス鉱業相、ディエゴ・パルドウ・エネルギー相らが出席した。
これは2023年12月に発表された官民連携による一大プロジェクト(2024年1月4日記事参照)で、ゼロエミッション燃料の新しい活用方法の探求、国内の水素バリューチェーンに関連する製造活動の促進、チリの産業分野におけるスタートアップの支援を目的としている。チリの電力大手コルブン、英国の鉱業大手アングロ・アメリカン、チリ発スタートアップのリボーン・エレクトリック・モーターズ(Reborn Electric Motors:REM)などで構成される企業グループが主導役となり、産業振興公社(CORFO)などによる支援を受け実現した。投資総額は75万ドル。
完成した水素バスの乗車定員は30人で、航続距離は、水素とバッテリーを合わせて最大600キロ、最高速度は時速90キロだという。また、多用途に対応しており、都市部、農村部、工業地帯を問わずさまざまな環境で運用可能な設計となっている。車両には水素燃料電池が搭載され、内燃エンジンはなく、水蒸気のみを排出する。今後は公道を走行するために必要な許認可を得たのち、2025年よりテスト走行が予定されている。この第1号車両は鉱山労働者の輸送に使用される見込みだ。
式典の中で、ボリッチ大統領は「チリで最初に製造された水素バスは、チリが持続可能な生産開発を進めるための国家戦略から生み出された具体的な成果の一例だ」と言及し、チリのエネルギーおよびエネルギー転換に関連する国家政策は、次期政権がどうであれ、今後も長期的に継続していく必要性がある点を強調した。
なお、ジェトロではチリのグリーン水素産業やREMへのインタビューを含む地域・分析レポートを掲載している(2024年10月25日付地域・分析レポート参照)。
(岡戸美澪)
(チリ)
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